2018年01月24日

深大寺、神代植物公園、雪に覆われる

4年ぶりの大雪となった東京。
散歩コースの、深大寺も神代植物公園も、すっぽりと雪に包まれました。
近所総出の道路雪かきが一段落したあと、さっそくチェックにでかけました。

深大寺の山門は雪がよく似合います。境内も雪で埋まっています。
布袋様、水車小屋、数ある蕎麦屋。みな雪に覆われています。
神代植物公園は職員が人ひとり通れる通路を作ってくれています。おつかれさまです。
雪景色の神代植物公園を撮ろうと、かなりの数のアマチュアカメラマンが来園しています。
リタイアした身には、雪景色はひたすら美しい。ただしこれは、降るのが一晩だけ、一夜明ければ快晴のもとで雪が溶けていく地だからいえるセリフです。
来る日も来る日も雪が降りつづける故郷・秋田に暮らす親戚や友人からすれば「なにを寝言こいでる」というハナシです。ま、人間は勝手な生きものだとかんべんしてもらいます。

雪におおわれた深大寺と神代植物公園に、乾杯。
posted by 呆け天 at 10:19| Comment(0) | 散歩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月22日

キタコマ沖縄映画祭2018 愉快なプレイベント

冊封使・徐葆光(じょ・ほうこう)は、「破壊される前の琉球」の姿を書き残した。

朝日新聞の告知記事で知った「キタコマ沖縄映画祭2018」のプレイベント(1月21日)に参加しました。
キタコマとは、小田急線・喜多見駅(世田谷区)と狛江駅をさす。隣り合わせの両駅近くにある公民館やイベントホールを使って約2週間、20本近い沖縄関連映画を上映する。
正式名称は「第4回 喜多見と狛江で小さな沖縄映画+α(色んなライブ)祭」というもので、ネーミングから分かるようにマイナー・手づくり感たっぷりの催しです。

プレイベントは入場無料で、「徐葆光が見た琉球」というドキュメンタリー映画の上映からはじまりました。
徐葆光(じょ・ほうこう)は、18世紀の中国の官僚で、冊封副使として琉球を訪れた。そのこまやかな観察力で《中山伝信録》や《奉使琉球詩》などの第一級の歴史資料を残した。その記述をルーツとして葛飾北斎の「琉球八景」が描かれた…。
そうでしたか、初めて知りました。
北斎の「琉球八景」は、雪景色があったり富士山が見えたりという、うけるためならなんでも描く浮世絵師の本領を発揮した怪作です。そのもとになったのは、冊封使・周煌の絵図「中山八景」であり、周煌は徐葆光が琉球を描写した漢詩や紀行文を基にその絵図を描いた。
徐葆光が書き残した琉球の政治・文化・風俗・人間の記述は、「薩摩侵略」「琉球処分」「アメリカによる占領」という、三つの破壊によって跡形もなくされた琉球王国の姿を、今に伝える。この記述を基に、冊封使を迎えるときの儀礼、饗宴の料理、舞踊・芸能をできるかぎり忠実に再現しようとする試みが、さまざまにおこなわれている。
なるほどなあ。歴史文献というものが持つ力というのは、たいしたものです。
上海生まれで、徐葆光に関する数々の歴史的発見も行ってきた女性研究家ウ・ヤンファの、歯切れのよい解説、中国ロケもふんだんにもりこまれ、清とヤマトの二重支配をうける琉球の姿が、いきいきと伝わってきます。

どういう形になるかは分かりませんが、やがて必ず独立への道を歩きはじめるだろう沖縄の、学究的な基礎工事の一つと感じました。

盛りだくさんの演しもの、愉快な司会進行。

映画のあとは、琉球舞踊、琉球民謡など盛りだくさんの演しもの。そのどれもが結構でしたが、特にえぐさゆうこの「朝顔節」(奄美民謡)はすばらしいものでした。えぐさの唄にあわせて演じられた井上ミウの舞踊も魅力的。これで無料では申し訳ないので、えぐさのCD、泡盛、ビール、つまみ、おみやげなどいろいろ購入して、ささやかながら売り上げに寄与しました。
演しものと同じくらい面白かったのが、実行委員長・高山正樹の「しゃべりすぎる」司会進行です。
「渋谷とか下北沢でやればこの何倍も集まることは分かってるの。だけど、この辺鄙なところでやって、ご近所の人が来てくれる催しをやりたいの。」
「反基地とか分かりやすい主張なら記事にしやすいんだけど、と新聞社の人はいう。わたしは、基地に賛成も、基地に反対も、ひっくるめて沖縄だと思ってる。」
「沖縄独立っていうけど、本土と沖縄本島の距離より、本島と八重山(石垣、宮古等)の距離が遠いよ。本島が独立すんなら俺たちは島ごとに独立するって言ってるよ。どうすんの。」
「全労連の集会で琉球舞踊やってくれっていうから行ってみたら、始まる前の人寄せだという。舞踊は拒否して、唄だけやったけど、だれも聞いてやしない。それで小池という男が出てきたらみんな食いつくような目をして聞いている。北朝鮮かっていうの。」

いやはや、いいたか放題、自由奔放、思わず吹き出す毒舌漫談。
主義は嫌いだ、ありのままの沖縄とつきあっていこうよという、熱いメッセージが伝わってきました。高山の熱に感応して、1月26日〜2月5日のあいだに、何度か足を運ぼうと思います。
辺鄙な地の、マイナーな「沖縄映画+α祭」に、乾杯。
関連:キタコマ沖縄映画祭2018 http://kitamitokomae-artfes.com/okinawa_4th/index.html
posted by 呆け天 at 12:06| Comment(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月19日

山田真由美・文、なかむらるみ・絵『おじさん酒場』

奇特な「おじさん萌え」に笑えます。

文・山田真由美(推定40代)は、居酒屋で飲んでるおじさんに奇特な思い入れをする。
「酒場にたたずんでいるおじさんたちの背中や横顔」に、「まだ見ぬ世界の入り口」や「引き出しの宝庫」を感じるなどという。
山田にかかれば、独りでじっと飲んでいるおじさん、2〜3人で談笑しているおじさん、女とみれば声をかけてくるおじさん、そのどれもが、それぞれに好もしいらしい。
不思議なことをいうものだと感心するしかない。
年代的にはこちとら観察される側のおじさんとして何十年も居酒屋で飲んできましたが、ここで著者が思い入れるような「まだ見ぬ世界」とか「引き出しの宝庫」とかは、まったくありません。
一人でふらりと入る、仕事帰りに「ちょっと寄る?」と連れ立って入る、酒好きと誘い合わせて評判の店に行ってみる、旅行先であてずっぽうに入る…居酒屋に行くいろんなバリエーションがありますが、飲みたいから飲んでるだけで、「背中」だの「横顔」だのといわれる筋合いはない。
なんでこんな勘違いをしてるんだろうと思ったら、第15回「センセイなおじさん シンスケ・湯島」に太田和彦がでてきて納得。巻末では「酒場の作法あれこれ」という山田・なかむらとの鼎談もしています。山田は太田の著作のファンで、そこに書かれている太田の姿にメロメロ。その投影として酒場のおじさんたちを見ているようです。

太田は『居酒屋百名山』『居酒屋を極める』など数々の居酒屋本を書き、テレビでも「いい旅いい酒いい肴」などに出演している。私も太田の本の愛読者です。
「古くて小さい店」がいい。そこに一人で飲みにいって、黙って飲む。他の客とも店主とも、「うわべだけのつきあい」にとどめる…。こういう太田の「居酒屋流儀」は確かにひとつの見識です。しかし、大田には「居酒屋で一人前の男になる」だの「一目おかれる存在になる」だのという、つまらない「ダンディズム」があり、わたしはこれには「なに言ってんだか」という感情しかわきません。「そっちで勝手に一目おかれてろ」てなもんです。
だいたい「チェーン店にはぜったい入らない」という思い入れも、わたしにはありません。いつでもどこでもどんな店でもOK。おやじが勘違いして能書きたれるような店とか、学生が騒いでうるさい店とかには、二度といかなければいいだけの話しで、存在を否定するようなことを思いも言いもしない。
酒を飲むことに、理屈も、流儀もいりません。「酒乱」(酒を飲んで暴力沙汰にいたる)という、絶対に許せないバカ者をのぞけば、どんな飲み方も自由です。

しかし、わたしが、大田の中の「余計なこと」と思っている部分に、山田は強く反応するようで、呑兵衛おじさんの背景などに勝手な思い入れをふくらませる。
私が好きなマンガ『あたしンち』(けらえいこ)のどこかに、弟ユズヒコの友だちが、勝手に姉みかんの洗濯物の下着を想像してコーフンし、ユズヒコは姉の現実の姿を思い出して、ばっかじゃないのと反応する場面がありました。山田の、おじさんの「背中」や「横顔」へのコーフンは、ユズヒコの友だちの、みかんの下着へのコーフンと同じです。
しかし、妄想のコーフンでまるまる一冊読ませる筆力があることも確かです。次作がでたら、また読みたい。

なかむらるみの描く「ヘンな生きもの」としてのおじさんにも笑えます。

山田の思い入れとは対照的に、イラストのなかむらるみ(推定30代)は、ヘンな生きもの、おもしろい生きものとしてのおじさんを活写して笑えます。
二人のコンビだから、最後までもたれずに読むことができた。なかむらは『おじさん図鑑』(2011年)という、みもふたもないおじさんスケッチ集をだしています。
むかし、20年近く毎週1〜2回通っていたM駅南口の居酒屋「Y」の親父は、「女性の一人客おことわり」という、フェミニストに見つかったら騒動になるような経営方針だったなあ。

女性客が、身構えずに居酒屋で飲む時代が来ていることに、乾杯。
おじさん酒場 -
山田真由美・文、なかむらるみ・絵『おじさん酒場』亜紀書房、2017年、1400円+税。
関連:2015年03月14日、太田和彦『居酒屋を極める』http://boketen.seesaa.net/article/415579123.html
posted by 呆け天 at 11:14| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする