2018年05月26日

映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』(監督:チャン・フン。韓国、2017年)

光州蜂起の現場に連れて行かれるような臨場感

1980年のソウル。妻に先立たれ、11歳になる娘と暮らすタクシー運転手キム・マンソプは、政治に無関心な労働者だ。当時の全斗煥(チョン・ドファン)軍事独裁政権に抵抗する学生デモに対しても「学生の本分は勉強だろ」と毒づく。
10万ウォンという高額な報酬で、戒厳令下の光州に向かう運転手をさがしている外国人記者がいることを聞きつけ、同僚を出しぬいてまんまと記者を乗せる。カネ目当ての運転手と、使命に燃えるドイツ人ジャーナリスト・ピーター。二人はいろいろ揉めたりしながらも、なんとか光州にたどりつく。
光州で繰り広げられる市民のたたかい、軍による暴圧を目の当たりにして、キム・マンソプの心境にも大きな変化がおこる…。

まるで、1980年の光州に連れて行かれるような臨場感があります。
主役を「高額報酬につられたタクシー運転手」としたことで、彼と一緒に、おっかなびっくり事件現場をのぞきみている感覚になる。キムは兵役経験があるので、検問の兵士に「忠誠!」と敬礼、これが兵士の警戒を緩める。地元のタクシー運転手とのケンカや和解、なまいきだが純粋な学生への反発と共感、おもわず乗せた地元の老婆との交流。コミカルな味付けが、暴虐の現場に入っていく緊張を和らげます。

たちあがった市民が、軍による無差別の発砲で殺戮されるシーンは、恐怖です。この時の軍の暴虐の全容はいまだ解明されておらず、被害者からの告発や真相究明は今も続いている。
光州からの脱出では、軍の追跡をふりきるカーチェイスでたっぷり観客サービス。
数十年の時を経て、いまも運転手をしているキムが、雪の降るソウルの街であの日々を回想する、抒情的で心地よいラストです。

映画は2017年8月に韓国で公開され、1200万人の観客を集める大ヒットとなった。
いまでは光州蜂起は「5.18光州民主化運動」とよばれている。文在寅(ムン・ジェイン)現大統領は、自身も光州事件で警察に拘束された経歴があり、2017年の5.18記念式典で「文在寅政府は光州民主化運動の延長線上に立っています」と宣言したという。すばらしい。

光州蜂起の現場で取材した、日本人記者(朝日新聞)がいた

映画は、光州にのりこんだドイツ人ジャーナリスト(ドイツ公共放送東京在住特派員)ユルゲン・ヒンツペーターとタクシー運転手の友情という、本当にあったことを基にしています。
エライ記者がいたものだと思うと同時に、「日本人記者は行ってたのか」という心配がわきます。
検索したら、「登攀工作員日記」というクライマーの方のブログに、2008年7月15日に京都で元朝日新聞記者・斉藤忠臣がおこなった講演が収録されています。「民主化を求めた光州事件の教訓―その取材記から」という演題で、なまなましい取材体験記です。えらい。よかった。
たしかに、記憶のなかに、当時の朝日の記事・写真の断片があります。「とんでもないことがおきている」という、ざわざわした感覚がよみがえります。ロック歌手白竜の「光州City」の発売禁止(中止?)とか、彼の「アリラン〜シンパラム(新しい風)」というすばらしい曲のことなどもうかんできました。
あれから、もう38年の歳月がすぎさったのか。

韓国民主化の原点、偉大な民衆蜂起が、このようなすばらしい映画になったことに、乾杯。
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映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』(監督:チャン・フン、韓国、2017年)2018年5月17日14:20〜新宿ピカデリー。
関連:「登攀工作員日記」光州事件https://mezase8a.exblog.jp/238494400/
2018年04月04日、金永煥『韓国民主化から…』http://boketen.seesaa.net/article/458563979.html
2017年10月10日、内田樹・姜尚中『アジア辺境論』http://boketen.seesaa.net/article/454060551.html
2017年03月13日、映画『怪しい彼女』http://boketen.seesaa.net/article/447870582.html
2015年10月07日、沖縄・辺野古韓国人青年逮捕http://boketen.seesaa.net/article/427374778.html
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2018年05月25日

カンパニュラ・メディウム、春から初夏に似合う色合いの花

朝の散歩コースに初登場、道端の鉢植えの花。
青紫、白、薄いピンクの色合いが、春から初夏に向かうこの季節の雰囲気によく似合う。
風鈴草420180511.jpg 風鈴草20180511.jpg 風鈴草220180511.jpg
もちろん名前など知らないが、帰宅して家人に聞くと「カンパニュラ・メディウム」という、ヨーロッパ原産の花だそうです。ツリガネソウ(釣鐘草)、フウリンソウ(風鈴草)ともいうらしい。

この花の形になぜか魅かれるみたいで、前にも超小型の花に参ったことがありましスノードロップという、2〜3センチの小さな花です。
釣鐘型の花l2.jpg
柄にもなく、「ソロモンの栄華にまさる」などという形容がうかびます。
関連:2015年04月15日、野の花、さくらのうしろで可憐に咲いてhttp://boketen.seesaa.net/article/417250322.html
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2018年05月24日

腐った「アタマ」がふりまく害毒。なんという無惨な。

日大アメフト部・内田と、首相・安倍のあまりの近似。

スポーツにかかわるニュースで、最近これほど気持ちの悪いものはなかった。
日大アメフト部の選手が、コーチと監督の明瞭な指示に基づいて、相手選手にケガを負わせることだけを目的としたタックルをおこなったと記者会見で明言し、その言葉の真実性は、ニュースを見ている誰にも伝わった。
ところが、翌日(5月23日)の記者会見で、内田正人(前監督)と、井上奨(コーチ)は、選手の発言を全面的に否認した。
「私は指示していない」(内田)、「ケガをさせろとは言ってない」(井上)。
障害行為をした選手がウソをついたか、あるいは内田や井上の言葉を曲解して誤った行為をしたという言いのがれだ。もし内田や井上を傷害犯罪の教唆で立件しようとすれば、録音テープとか書面の証拠が必要らしいから、逮捕・起訴はされないと確信しての記者会見だろう。
なんという気持の悪い連中だ。
昔から「魚は頭から腐る」という。内田という男が、骨の髄から腐った人間であることは、テレビ画面越しでもつたわってくる。その腐った頭が、絶対権力者として君臨するアメリカンフットボール部。彼の腐敗になじみ、同化し、疑念を持たない者だけがこの組織でコーチになれる。井上という男のふるまいが、いやになるほどそのことを伝えてきます。

「私か妻がかかわっていたら首相も政治家もやめる」と語った安倍のことばが、ありとあらゆるウソをひきおこし、国の書類を廃棄させ、下級公務員の自殺者を生む。
暗愚の、腐ったアタマの男の一挙手一投足が、日本の官僚政治システムの総劣化を引き起こす。
「記憶にない」「記録されていない」「職務を完遂して責任をとる」…。
おそろしい限りです。

いったい、どこまでつきすすめばエンドマークがうたれるのか。
5月24日朝日新聞朝刊1面は、期せずして(あるいは意図して)二つの事件の近似を伝えている。
posted by 呆け天 at 08:49| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする