2018年02月01日

映画『カタブイ − 沖縄に生きる』(監督:ダニエル・ロペス)

「どうしてこんなに沖縄に惹かれのか」をつきつめるスイス人青年

キタコマ沖縄映画祭で上映されました(1月29日)。すばらしいドキュメンタリー映画です。
監督のダニエル・ロペスはスペイン系スイス人、ふらりと訪れた沖縄のとりこになってしまった。美しい海、砂浜、居酒屋で歌い始める人々、田舎の暮らし、理不尽な軍事基地の存在、基地に抗議する人々…いったい、なにがこんなに自分を惹きつけるのかをさがして13年も沖縄で暮らしている。
沖縄県立芸術大学大学院で写真や映像を学び、地方テレビ局でパーソナリティを4年間つとめ、写真集もだしている。この映画の撮影にも数年をかけ、登場した100歳の老人の元気なときの映像と、葬儀の映像が、両方おさめられている。
カタブイとはウチナーグチ(沖縄ことば)で、天気雨、局所的に降る(片降い)雨のこと。

ダニエルは、自分が沖縄に惹きつけられる理由を、7人の人間へのインタビューで明らかにしていく。
彫刻家・金城実。読谷村で集団自決に追い込まれた島民の像「チビチリガマ世代を結ぶ平和の像」の作者。自作の、迫力満点の彫刻作品をバックに「テロは子どもも殺すから、だめ。テロではなく、この彫刻・芸術がオレの抵抗」と語る。
空手家・上間康弘。武器を持つことを禁じられた琉球の庶民は、空手を武器とした。心技体は、まず身体、次に技、それができてこそ心ができる。子どもたちの、はしゃいだり真剣に稽古したりする映像が心に残ります。
居酒屋店長・糸満盛仁。「ほかの国ならテロがおきてるよね」といいながら、バンドでシャウトする。100歳の祖父を歌で送る。
オバーラッパーズ(カメ―オバー)・新城利枝子。廃止が予定されていた栄町市場を残すために、自らラッパーとして歌うなど、さまざまな仕掛けを成功させる。「この栄町を変える、そうすれば沖縄が変わる、沖縄が変われば日本が変わる」。介護施設で働くすがた、旧盆でたくさんの孫と一緒に祖先を祀るようす。本編の主人公ともいえる役割を担っている。
宮司・渡慶次馨(とけし・かおる)。万物に神が宿る。航海の安全を祈り、祖先を祀るのがわたしの仕事。沖縄のウタキ(御嶽)の多くは、その地を開いた祖先を祀る場。
琉球舞踊・宮城茂雄。琉球舞踊は癒しの踊り、見ていて眠くなるのは当然です。前の世代から受け継いだものを、次世代に受け渡す、それがわたしの仕事。
シーサー職人・上原新吾。シーサーは魔除けだが、悪いものを単に追い払うのではない。口に入れて、いいものに変えて、一緒に暮らす。いかにも沖縄らしい魔除けです。

老人たちは長寿でニコニコ。青年や大人たちは、それぞれの仕事を懸命にやりぬく。子どもたちはよく遊び、学び、沖縄の風習を家族ぐるみで伝承していく。映像は明るく、人々の笑顔に満ちている。引用されるテレビパーソナリティ・ダニエルの映像も、「陽気なガイジン」という、日本のテレビで求められるキャラクターを忠実に演じて、軽くて明るい。

しかし、映画全体のテーマは、おそろしく深くて、哲学的です。
映画の最後に、ダニエルの独白が流れる。
「自由とは翼を持つことではない、それは『根』を持つことである」

アメリカ支配(アメリカ世)といっても数十年、日本支配(ヤマト世)といっても数百年にすぎない。幾千年前から沖縄に暮らし、これから幾千年も沖縄で生きていく者にとっては、アメリカ世(ゆ)も、ヤマト世(ゆ)も、天気雨、カタブイにすぎない。
テロではなく、暴力ではなく、この理不尽な(日米による)支配に抗して、生き抜いている人々がいるというメッセージが、見終わったあとにズシリと響きます。どれほどの時をかけようと、最後の勝者が彼らになるだろうことが伝わってきます。

ラストシーンは、沖縄で結婚してさずかったダニエルの子ども(名前、琉生=ルイ、沖縄に生きる)が、妻の弾く三線を聞きながら昼寝に入っていく映像です、ダニエルもまた沖縄に「根」を持つのでしょう。

金城実は、チビチリガマを荒らした少年たちと一緒に修復活動をした

読谷村のチビチリガマ(ガマ=洞窟)が何者かに荒らされたというニュースは、かなり大きく報じられた。ところが犯人は政治的な背景のない少年たちで、単なるいたずらだった。「この映画にでている金城実さんは、この子たちと一緒に修復作業をした。その、肝心のところ、いちばんいい話が報じられていない」と主催の実行委員長・高山正樹は、熱く語りました。
キタコマ映画祭がなければ、このすばらしい映画に巡り合えなかった。主催者に感謝です。

昨年、国立新美術館で「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」(7〜9月)が開かれました。サンシャワー(天気雨)は、陽はさしているのに雨が降る不思議な気象のこと。東南アジアの自然の豊かさ・明るさと、植民地支配という理不尽が降りそそいだ歴史、その両義性についての、誌的なメタファーとしてつけられたタイトルでした。
本作の「カタブイ」にこめられたのも、意味は同じと感じます。

幾千年の沖縄の営みの中で今を生きる人々。それを映像化したダニエル・ロペス監督に、乾杯。
カタブイ.jpg カタブイ2.jpg
映画『カタブイ』(監督:ダニエル・ロペス)1月29日キタコマ映画祭、M.A.P
関連:2018年01月22日、キタコマ沖縄映画祭2018http://boketen.seesaa.net/article/456369270.html
2017年08月16日、サンシャワー 東南アジアの現代美術展http://boketen.seesaa.net/article/452705867.html
posted by 呆け天 at 10:57| Comment(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月30日

芋けんぴ、ひそかなマイブーム

瀬戸内寂聴が命をつないだ食べもの

瀬尾まなほ『おちゃめに100歳!寂聴さん』に「ん?」とハテナマークがつく記述がある。
大病し、食欲を失った瀬戸内寂聴が「芋けんぴ」だけは食べることができ、それで命をつないだ時があるというのだ。
「芋けんぴ」?
なんだそれは。聞いたこともみたこともない。連れ合いに「芋けんぴって知ってる?食べたことある?」と聞くと「なに言ってんの。だれだって食べたことがあるお菓子よ。さつまいもをカリッとあげたやつ」という。
さつまいもをカリッと揚げる?大学いもか?
そこらへんのコンビニにだって売ってるわよと言われて、即、自転車ででかけて購入。
芋けんぴ2.jpg 芋けんぴ3.jpg
そうか。これが「芋けんぴ」という名前なのか。確かに見たことも食べたこともあるお菓子です。
ネットで検索すると、土地によっては同じものを「芋かりんとう」とも呼ぶという。高知県では江戸時代から殿様の好物だったそうで「土佐の芋ケンピ」といえば特産品あつかいの由。
固い!
いまどきの「うま〜い、やわらか〜い」という風潮にはきっぱりと背を向けている。
安ものの部分入れ歯だと、こわれはしないかと心配になるほど固い。こんな固いものを、他のものが食べられないような状況で、秘書にとりあげられてしまうほど寂聴は食べたらしい。どんな歯をしているんだ。
食べ始めるとやめられない。かっぱえびせん系の菓子だ。あっちは塩味、こっちは糖蜜ですが。
「けんぴ」という呼称の由来は諸説あるらしいが、小麦粉を使った和菓子のけんぴ(堅干=堅く干す)と原材料も製法も違うが、派生して作られた菓子という説が、スルリと納得できます。

東海林さだおも知らなかったという

太るからまずいと思いながら、ひそかなマイブームとなってしまい、渋いお茶でコリコリ食べてます。
ヘンなものにつかまったと思っていたら、「週刊朝日」(2月2日号)の東海林さだお「あれも食いたいこれも食いたい」でとりあげられ「この年になるまで『芋けんぴ』という名前を知らなかった」という告白が載っています。
食べ物エッセイウン十年の東海林画伯が知らないんじゃ、わたしが知らないのもムリはない。

瀬戸内寂聴が命をつないだという「芋けんぴ」に、乾杯。

関連:2017年12月31日、瀬尾まなほ『おちゃめに100歳!寂聴さん』http://boketen.seesaa.net/article/455895083.html
posted by 呆け天 at 09:38| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月28日

沖縄の友人より(46)1.19沖縄県議会が、全会一致で「海兵隊撤退」などを決議

沖縄の暮らしを脅かす、相次ぐ米軍機事故。
「米軍は良き隣人ではない」(翁長知事)

昨年12月の普天間基地所属の米軍機からの部品や窓枠の落下に続き、今年に入って伊計島の海岸や読谷村への米軍ヘリの不時着など、米海兵隊の事故が相次いでいる。
翁長知事は記者会見で「最大限可能な限り飛行しないとした約束が破られたことは極めて遺憾。極東の安全を守る前に国民の安全を守り切れない」「米軍は良き隣人ではない」と強く批判した。
1月19日、沖縄県議会は全会一致で、@普天間所属米軍機の民間地上空での飛行中止、A普天間飛行場の来年2月までの運用停止、B海兵隊の国外・県外移転、C日米地位協定の改定などを求める意見書と抗議決議を採択した。
1月10日に行われたND(新外交イニシアティブ)主催「トランプ政権下の東アジア外交と沖縄」で講演したダグ・バンドウ氏(元レーガン政権特別補佐官、保守系シンクタンク上級研究員)は、「海兵隊は日本の防衛には何も関係がない」「日本政府が、沖縄の海兵隊を動かして欲しいと言ってくれば、アメリカも対応せざるを得ない」と語った。海兵隊のさまざまな事故・不祥事は、日本政府の対米従属政策がひきおこしている。

速報・南城市長選挙に勝利!
1月21日投開票の南城市長選挙に、オール沖縄の瑞慶覧朝敏さんが当選した。自民、公明、維新の推薦を受けた現市長は落選。安倍官邸に結びつき翁長県政の足を引っ張ることに注力してきた市長グループの一角を崩すことに成功した。

<写真>辺野古新基地を許さないたたかいは、キャンプシュワブゲート前で、ねばり強く、ひるむことなく続いている。
@1.20 辺野古ゲート前座り込み土曜行動。第1回目の資材搬入のあとゲート前に集まって抗議のこぶし。A1.20 第1ゲート前で手作りのプラカードを掲げる女性。B1.17 辺野古ゲート前座り込み。拘束された中から、ダンプの資材搬入に抗議して「違法工事を止めよ」とシュプレヒコール。
C1.17 県警の座り込み排除は乱暴の度を増している。ゴボー抜きで地面に倒された女性の足を引っ張る。D1.17 本部港からの砕石搬入に抗議し、大浦湾側のK9護岸に向かおうとするカヌーチームをさえぎる海保の高速ボート。E1.13 ゲート前テント。土曜行動に150人。終日資材搬入なし。那覇島ぐるみバスで参加の県外メンバーがあいさつ。
F1.10 ND主催のダグ・バンドウさん(ケイト―研究所上級研究員)講演会に150人。発言する猿田佐世ND事務局長。G1.10 ゲート前。資材搬入を終えて出てくる工事車両対し「違法工事やめろ」「海兵隊出ていけ」と訴え。H1.10 ゲート前。あいさつする高江住民の会の伊佐さん、安次嶺さん。
I1.9 平和市民連絡会の対県交渉。30人参加。「知事権限行使」を求める要請書を読み上げる高里鈴代共同代表。J1.8 辺野古の海に延々と伸びるフロート。海保のゴムボートは9隻。海保の仕事は埋め立て工事のガードマン。K1.7 ヘリ基地反対協の浜のテント。浜での座り込みから5000日を越えた。「勝つ方法はあきらめないこと」

自民党の松本文明内閣府副大臣が1月26日の衆院本会議で、沖縄の米軍ヘリのトラブルを巡る質問に対し、「それで何人が死んだんだ」とやじを飛ばした。いまや自民党国会議員には、ネトウヨ・バカウヨ代表のような人間がゴロゴロしていることを端的にしめす事件です。
同じ自民党議員でも、先日亡くなった野中広務などは、沖縄戦での沖縄県民の犠牲に思いを馳せる発言をいろんな場でしていたものでした。安倍政治のもとで、腐りはてた自民党議員が増殖している事態に、どこで、どう歯止めをかけるのか。
たたかい続ける沖縄のみなさんに、敬意と連帯を表します。
posted by 呆け天 at 11:21| Comment(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする