2017年08月06日

植物公園の蓮(はす)の花

どぶに落ちても根のあるやつは いつかはハチスの花と咲く

神代植物公園の中央芝生広場わきに、美しく蓮(はす)の花が咲いています。
水面に浮かんでいる蓮も美しいが、水鉢で高く咲いている蓮の花もまたけっこうなものです。
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『男はつらいよ』の主題歌2番。
「どぶに落ちても根のあるやつは  いつかはハチスの花と咲く」
わたしはこの「ハチス」が、蓮の花のことだということをずいぶん長い間知りませんでした。
ハチスというのはなんかの符牒で、歌の意味としては、たまたまどぶや水たまりに落ちてしまった草花のタネでも、名も知れぬ花を咲かせることもある、くらいに勝手解釈していました。ハチスが蓮のことと知って、寅さんの俗まみれの生き方と、高貴・清浄な蓮の花とを対比させた歌詞だったかと得心しました。気づくまでウン十年、なんともおそまつな寅さんファンです。

はちすという古名は、花が落ちたあとの花托が蜂の巣に似ていることからきたというのが、通説の由。花のこの部分です。
蓮1.jpg
たしかに見た目、蜂の巣のようといえなくもない。「はす」という呼び方は「はちす」が転じた訛りという。
子どものころから蓮の花に座っている仏さまの絵などを見てきたからか、いまでもなにか特別な花、ありがたい花という気持がわきます。

暑苦しい夏に、さわやかな風を運んでくれる蓮の花に、乾杯。
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posted by 三鷹天狗 at 08:11| Comment(0) | 散歩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

滝口悠生『愛と人生』

『寅次郎物語』の「秀吉」が、美保純と伊豆下田を旅する

不思議な小説を読みました。
寅さんシリーズ第39作『男はつらいよ 寅次郎物語』(1987年)に、寅さんのテキヤ仲間「般若の政」の子どもとして出てくる「佐藤秀吉」が、大人になって伊豆下田を旅している。旅の同伴者は、50代になっている美保純です。
二人がなぜ一緒に旅をしているのかは不明ですが、お互いに「寅さん映画の共演者」というリアルは共有している。ただし、秀吉はあくまでも映画の登場人物、実在しない虚構の人間のままです。秀吉を演じた伊藤祐一郎という子役の名前は、いちどもでてこない。
いっぽう美保純は、タコ社長のむすめ「あけみ」そのままの設定を美保純として生きている。あけみのセリフや演技、寅さんや秀吉とのやりとりはすべて美保純として行われる。あけみはいちどもでてこない。
なんだか煮えきらない30代後半のオトナになっている秀吉は、年代的にもたぶん作者・滝口悠生の投影です。
映画や寅さんについてグダグダと語る秀吉に、美保純は「あんたさっきから当たり前のことばっかし難しく言い連ねてなんなのよ」と悪態をつきます。悪態をつきながらも野天風呂の中で立ち上がり、秀吉(=滝口)に相変わらず魅力的な背中とおしりを見せるというサービスはしてくれます。
秀吉が美保純に問われるままに、寅さんと一緒に母をさがした旅の思い出話しをしている。旅のとちゅうで化粧品の巡回セールスで生きている秋吉久美子と知り合いになる。秀吉の看病が縁で急接近した寅さんと秋吉がたわむれに「とうさん」「かあさん」とよびあう。
その思い出話を聞いている美保純が「どうかと思っちゃうわね、その女」と妬(や)く。
なんとも、しっかりと美保純と秀吉の会話になっています。

このあと小説は、宿の仲居(実は女将)が語る波乱万丈の思い出話に脱線したり、「豆相(ずそう)人車鉄道」という人力でトロッコをおして観光客を運んだ歴史の遺物に美保純と秀吉が乗ったり、トロッコをおす男の背中から般若の入れ墨が浮かびあがってくるというように、果てしなく虚構・幻夢に迷い込んでいきます。

ま、あれでしょうね。虚構とリアルの相互浸透、といったようなことを文学実験してるんでしょうね。
寅さんという映画(虚構)が、現実の葛飾・柴又に万来の客をよび繁栄している。
渥美清の演じる寅さんがリアルな影響を観客の実人生に与え、それがまた渥美清にはねかえる。
美保純は「あけみ」という役名ではなく、美保純として野天風呂に立って後ろ姿を見せている。それはいまも秀吉(=滝口)の性的な渇望の対象である…というようなことではないかと推察します。

きっと寅さんがあの世でテキヤ仲間に自慢していることでしょう

どうして、こういう文学実験が必要なのか、呆け天の理解のおよぶところではありません。しかし、この作品で滝口は野間新人文芸賞を受賞、次の年には『死んでいない者』で第154回芥川賞(2016年)を受賞しました。
寅さんファンとしては、寅の墓前に捧げられたたくさんの追悼作品のひとつに、純文学という変わり種が加わったことをすなおに喜ぶことにします。
寅さんはあの世で「どうだいポンシュウ、芥川賞をとるような小説家が、オレをネタに小説書いたらしいぜ」と鼻高々でしょうね。

芥川賞作家の、寅さんへのオマージュ(賛辞)に、乾杯。
愛と人生 -
滝口悠生『愛と人生』講談社、2015年、1700円+税。
関連:2017年07月27日、「呪いかけましたよ。…」http://boketen.seesaa.net/article/452155432.html
2016年08月31日、村田沙耶香『コンビニ人間』http://boketen.seesaa.net/article/441495744.html

posted by 三鷹天狗 at 08:45| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月02日

高校野球、東京予選準決勝を初体験する

「準決勝がいちばん面白い」と熱く語る高校野球通にぶらさがって

高校野球地方大会東京予選は、東地区が二松学舎大付、西地区は東海大菅生が勝者となり、清宮の早実が決勝で敗れたことが大きなニュースになりました。清宮フィーバーで、西地区決勝には3万人以上入ったそうで、あいかわらず高校野球は人気がありますね。
2週ばかり前の居酒屋談義で、話しが高校野球や清宮選手におよんだ時に、飲み仲間のAさんが「今年も神宮球場に準決勝を見に行く」という。今年も、ということは以前から行っていた。
Aさんは、自分も還暦まで草野球チームでプレーしてたというほどの野球好き。プロ野球はアンチ巨人、巨人以外で優勝しそうなチームを応援する、なので今年は広島。高校野球は神宮球場で、西東京か東東京の準決勝のうち面白そうなカードがある方を観戦するというのを何十年もやってきた。府中球場の予選もいくつか見るが、なんといっても地方大会の花は準決勝だという。
力があるチーム同士なので接戦になる、優勝に手が届く寸前という緊張感、やがてプロ野球で活躍するような選手が何人かいて目を見張るようなプレーを見せる、それを自分がみつける喜び、そんなに混まない…。
今年は、もし早実が準決勝に進んだら混むので西地区は敬遠し、東地区の準決勝を見に行くという。なるほどなあ。そこまで考えて見に行くのか。いちどぶらさがって行ってみるか。
神宮球場.jpg
ということで7月27日(木)東地区準決勝の2試合、東海大高輪台×東亜学園、二松学舎大付×関東第一を観戦しました。
チケットは並ばずに買え、Aさんがいつもそこで観戦するというネット裏最上階のひさし付きの席で観戦です。見晴らし最高です。意外なことに外野席には人を入れていません。
「外野が埋まるほど客が入るのは清宮がでるときくらい。明日の西地区準決勝は早実だから外野まで入れる、もし早実が決勝に進んだら満員になるんじゃないの」
これぜんぶそのとおりになって、準決勝では1万7千人、決勝では3万人以上入ったというのですから、事情通というのはすごいものです。
まわりのお客さんも、どこかのチームを応援するというのではなく、純粋に試合そのもの、はつらつとしたプレーを見るのを楽しみにきている雰囲気です。

東海大高輪台×東亜学園でめだったのは、東海大のブラスバンドの豪華さ。ほかのチームのホルンは1〜2台ですが、東海大は6台がきらめいて、低音の迫力がただごとではない。選手の体もなんだか東海大のほうが大きく感じられ、試合も5‐3で勝ち。東亜も小技のきいたプレーをみせるいいチームと思ったのですが、ノーシードで勝ち上がった東海大の勢いに押されたようです。
二松学舎大付×関東第一はなんと7回コールド8-1で二松学舎大付の勝ち。二松学舎大付は、1回の裏に先頭打者がヒットで出ても、2番打者がバントのそぶりも見せない。
「へえ、いまどきの高校野球はバントをしないの?」
「バントしないチーム、けっこうあるよ。なにもアウトひとつ献上する必要ないという考えの監督が増えてる」
連打でみるみる間に4点が入る。関東第一の高橋というピッチャーは140キロ台をビシビシ投げ込むのだが、二松学舎大付はひるむことなくがんがん打っていく。いいですねえ、これぞ高校野球です。
途中、わたしがトイレにいっているちょうどその時に、関東第一の石橋がホームランを放つという間抜けなこともありました。残念。
二松学舎大付先発の市川が7回6安打1失点におさえ、打線は関東第一の二人目のピッチャーも打ち崩して8対1のコールド勝ち。まさか、こんな大差がつく力関係のチームとは見えませんでしたが、高校野球はこわいですね。市川も高橋も、プロが注目しているピッチャーみたいです。

帰りは、信濃町駅近くの「森のビアガーデン」でお疲れさまの一杯。野外で飲むビールとバーベキューは最高です。年寄り二人には多すぎないかなど心配したバーベキューセットをあっさり平らげ、今見てきた野球プラス囲碁談議で大いに飲みました。

高校球児のはつらつプレーに、乾杯。
貴重な、高校野球地方大会準決勝体験に、乾杯。

関連:2016年08月11日、甲子園初体験。平和だなあ。http://boketen.seesaa.net/article/440947686.html
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posted by 三鷹天狗 at 08:52| Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする