2018年02月11日

沖縄の友人より(47)名護市長選の敗北をのりこえて

「反対しても工事が止まらないのなら経済振興を」という世論操作に屈する

2月4日投開票の名護市長選・市議補選は敗北した。カッコ内は前回2014年市長選。相手候補は末松文信(自民)。今回は自公維。
有権者数  48,781 (46,582)
投票率    76.92%(76.71%)
投票総数  37,524 (35,733)
稲嶺進    16,931 (19,839)
渡具知武豊 20,389  (15,684)
有権者は2200人増えたが、稲嶺候補の得票数は3000近く減り、相手候補は5000近く増えた。市長選前のタイムス、新報、共同通信の名護市民世論調査で「普天間の辺野古移設反対」と「どちらかといえば反対」が合わせて66%、「翁長知事支持」が65%を占めた。しかし、選挙結果は逆になった。辺野古反対・翁長支持のかなりの部分が自公維の候補に流れたことになる。NHKによると「どちらかと言えば反対」の層の約60%が渡具知候補に投票したという。埋め立て工事の進行が「どうせ反対しても工事が止まらないのなら経済振興を」という方向への圧力となった。
安倍官邸は、国策に果敢に立ちはだかる稲嶺名護市政をつぶすために周到な準備をした。前回自主投票の「辺野古基地反対」の沖縄公明党に対し、辺野古については賛否を明らかにせず「海兵隊の県外移転」を確認することで取り込んだ。自公に維新を加え自公維の体制をつくった。閣僚、国会議員、秘書団を総動員して企業・団体を締め付け、小泉、三原、小渕などタレント議員を投入して浮動票を集めた。
渡具知陣営は「辺野古のへの字も言わない」作戦を徹底して辺野古を争点とすることを避け、公開討論会への出席を拒み続けた。
そして「稲嶺市政の2期8年で名護市が停滞している」「基地問題に関わりすぎ」「市の借金を増やした」などの印象操作やデマを行ない、「政府と対立するだけではいけない」と国の予算で名護市の雇用・経済の発展が図られるかの期待を振りまいた。
実際の稲嶺市政は、基地に依存しないまちづくりに奮闘してきた。中学校までの医療費無料化、全教室クーラー設置、「再編交付金」に頼らない福祉予算の大幅増額など、平和行政の手腕を発揮してきた。
しかし、そうした実績は「基地か経済か」という誤まった争点設定に、かき消されてしまった。この敗北は、名護市民だけでなく県民にとっての大きな損失だ。
安倍は早速辺野古推進を言明したが、新市長が誕生したからと言って基地建設が順調に進むわけではない。名護市民だけでなく、県民の辺野古NO!の民意は継続している。名護市議会は依然辺野古反対が多数を占めているし、翁長県政もまた辺野古反対の立場を変えていない。何より、現場での屈しない闘いがある。選挙の敗北をのりこえ、辺野古新基地阻止の闘いは続いていく。

@2018.2.3 名護市長選挙。「ススム・アシトミ必勝大集会」に3000人の熱気。名護市大北の洋服の青山交差点。AB2.3 キャンプ・シュワブゲート前土曜県民集会。
C1.31 警察による囲い込みの中から、工事車両に対する抗議の声をあげる。Dキャンプ・シュワブゲート前座り込み。9時前工事車両が着きはじめると、警察機動隊による強制排除が始まる。E1.31 道路の反対側からゲート前の攻防を見守る救護班。富山と静岡から駆け付けた。

第21回池学淳正義平和賞、ヘリ基地反対協議会に
1月22日、ゲート前テントで盛大に授与式

韓国民主化運動の先頭に立ったカトリック司教として尊敬を集める池学淳(チ・ハクスン)師(1921〜93)を記念して創設された「池学淳正義平和賞」が「海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会」(ヘリ基地反対協議会)に授与された。
1月22日、ソウルから那覇空港に到着した池学淳正義平和基金の一行7人は、資材搬入をめぐる攻防を食い入るように見つめ、闘いの現場で授与式が行われた。24日には、平和記念公園を訪れ、韓国人慰霊の塔に献花した。
F1.22 辺野古ゲート前テント。第21回池学淳正義平和賞を受賞し、笑顔で握手を交わすチェ・ギシク副理事長とヘリ基地反対協の安次富さん、浦島さん。G1.22 辺野古浜のテント。池学淳正義平和基金の一行7人が授賞式に先立ち訪れ交流した。H授賞式の冒頭、華麗に行われた伝統舞踊「かじゃでふう」。
F ヘリ基地反対協の安次富さん.jpgFG1.22 辺野古浜池学淳一行7人.jpgGH「かじゃでふう」.jpgH
I1.24 平和祈念公園の一角にある韓国人慰霊の塔。池学淳基金の一行が訪れ、献花黙祷。J平和の礎。朝鮮半島から動員され死亡した人びとの刻銘版に、南北朝鮮合わせて462人が刻銘されている。
I平和祈念公園の韓国人慰霊の塔.jpgIJ死亡した人びとの刻銘版に.jpgJ

グアムのこと知ろう!つながろう。
沖縄にもグアムにも米軍基地はいらない。
 
1月20日、那覇市で「沖縄の基地負担軽減のためにグアムへ基地をもって行くっていいこと?この機会に知ろう!そしてつながろう」との集まりが開かれ、約40人が参加した。1月24日開かれた名桜大での集まりにも約50人が参加した。
開会のあいさつで、高江住民の会の安次嶺雪音さんが「高江の現場にグアムから来てくれた。話を聞いて私たちと同じだと思った。昨年10月グアムを訪問した。支え合いつながりを広げて行きたい」と述べた。
基地・軍隊を許さない行動する女たちの会代表の高里鈴代さんはスライドを用いて、沖縄海兵隊のグアム移転問題の経緯を報告した。沖縄の少女暴行事件の翌1996年、日米両政府は沖縄海兵隊基地の再編計画を盛り込んだSACO合意を結んだ。それによると、@辺野古新基地を2014年に完成、A8000人グアム移転、B日本が28億ドル負担となっていた。米軍の数は5年前から公表されなくなったが、沖縄の海兵隊の実数は12000人くらいだと考えられている。したがって8000人が移転すれば4000人しか残らない。ほんとうに辺野古新基地が必要なのか。
グアムの土地の30%は米軍基地だ。1898年の米西戦争で、アメリカはスペインからフィリピン、ハワイ、プエルトリコと共にグアムを奪った。アジア太平洋戦争で日本が一時支配し、原住民のチャモロの女性は日本軍慰安婦にされた。戦後再びアメリカの支配下に入ったが、地元の人たちは植民地支配からの解放を願い、米西戦争後グアムの米植民地支配下への割譲を決めたパリ条約のコピーを燃やし灰にして流すパフォーマンスをやった。
「グアムに独立を」「グアム連帯・平和と正義」などのグループから参加の3人(モニカ・フローレス、スタシア・ヨシダ、レベッカ・ガリソン)が次のように報告し発言した。
グアムの人口は約17万人。30%が米軍基地で、年間約620万発の実弾演習が行われている。演習場の海域は伝統的な漁業の海で、陸には遺跡や墓がある。自然が豊かで、水、ラン、聖地、蝶、渓谷、オオコウモリ、ウミガメすべて貴重だ。アメリカ政府の「The 2017 Biological Opinion」でも絶滅危惧種がたくさん記載されている。コウモリやカタツムリ、さらにグアムに一本しか残っていない固有種の木がある。また歴史的・考古学的に重要な60ヵ所の遺跡がある。環境汚染も深刻だ。
人びとは「Return Stolen Land」(奪った土地を返せ)と訴えている。チャモロ人のグアムの先住民族としての権利を認める国連決議に反対したのはアメリカと日本だけだった。
グアムの人々が、スペインによる植民地支配以来の、長い屈従の歴史に「No!」の声をあげている。
K1.20 「グアムのこと知ろう!つながろう!交流勉強会。高里鈴代さんがグアムの歴史とアメリカの植民地支配からの脱脚を求める運動を紹介。L三人のグアムからの参加者と通訳。3人の名前と団体名が背後のスクリーンに映っている。M1.21 辺野古の道路わきに満開の寒緋桜が春の訪れを告げる。
世界に連帯の輪を広げる沖縄のみなさんの闘いに、敬意と連帯を表します。

posted by 呆け天 at 11:28| Comment(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月07日

沖縄・名護市長選、稲嶺候補敗北の衝撃

「嘆かず、依存せず、できる限りのことを黙々と、淡々とやっていく」ーチョイさんの沖縄日記より

沖縄県名護市長選が2月4日投開票された。
渡具知武豊  20.389票
稲嶺進     16,931票
辺野古新基地反対の先頭に立ち、オール沖縄の候補であった稲嶺氏が敗れた。今でも名護市民の6割が基地建設に反対という世論調査に変わりはない。しかし、「基地反対だけではやっていけない」というネガティブキャンペーンに、稲嶺陣営は抗しきれなかった。
遠くから「稲嶺ガンバレ」と応援していた者としては、残念無念、悔しくてなりません。
しかし、稲嶺氏の当選のためにがんばってきた名護市民、基地建設阻止の最前線でがんばっている方たちの悔しさとは比べるべくもありません。みなさんの言葉に耳を傾けるのみです。

翁長知事は、辺野古新基地建設反対は揺らがないことを表明したうえで、安倍首相が「名護市民に感謝したい」などと発言したことについて疑問を呈した。「国は沖縄が最初に出した民意を尊重してきたのか」「知事選、衆院選、参院選で(辺野古反対の)民意は出たが政府はそれを一顧だにしなかった」と指摘。「民意のとらえ方は、首相が胸を張って言えるようなものではない」と述べ、政府与党支援の候補者の勝った選挙結果が出た時のみ、地元の意向を尊重する姿勢を示す国を批判した。
「琉球新報」2月6日https://ryukyushimpo.jp/news/entry-659870.html
現地での闘いの先頭にたっている芥川賞作家・目取真(めどるま)俊さんは「逆境の中でこそ真価が問われる。敗因を真摯に反省し、現場での闘いを強めましょう」というメッセージを2月4日に発しています。「祝杯をあげている政府の政治家・役人は、沖縄県民・名護市民のことを腹の底では嘲笑っているだろう。米軍に奉仕することしかできないそういう連中によって、沖縄県民・名護市民が犠牲になることを許してはならない。」という強く深い怒り、決意が述べられています。
「海鳴りの島から」http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/1ba8beeb8141184fcf5cf155d7b5e912
同じく現地の最前線から、匿名ブログで発信し続けている「チョイさん」は、目取真さんが4月に語ったことばを引用する形で「嘆かず、依存せず、できる限りのことを黙々と、淡々とやっていく」のみという力強いメッセージを発しています。
「チョイさんの沖縄日記」http://blog.goo.ne.jp/chuy/e/561faafaa94b93adb81cc825e30039df
映画『標的の島』の三上智恵監督は「辺野古の街の闇にトグチ陣営の乾杯の声がこだましてる」とはじまる長い詩をフェイスブックに投稿しています。「誰が何を失ったのか?光を失ったのはこの国ではないのか」という問いかけが、重く、胸に迫ります(2月4日23:49投稿)。
https://www.facebook.com/chie.mikami.54?hc_ref=ARQ9Ut0UAdLQCNHreXraSA-3p_qxegANv8UOw8J_uYowYm-8o6uUaXz-OGKwhWClYsg&fref=nf&pnref=story

「中央政府に弓を引く」ことの困難

ときの中央政府・政権にたてつき弓を引くことは、古来から尋常ならざる困難を伴います。むかしなら騎馬兵士が制圧にきたし、今はカネの力、威圧と懐柔が重く住民にのしかかります。
沖縄の人々が求めている「国土の0.6%にすぎない沖縄に、米軍基地の74%がおかれている異常事態の是正」という、あまりにもまともな要求を、政権の全体重をかけて圧殺する安倍政権。今回の名護市長選は、中央政府の暴政に、名護市民がいったん屈することになりました。しかし、なにも終わったわけではありません。
「嘆かず、依存せず、淡々と」米軍基地撤去を求め続けるたたかいは続きます。
左:2月5日朝日新聞夕刊、右:同2月6日朝刊
関連:2015年12月11日、高橋哲哉『沖縄の米軍基地』http://boketen.seesaa.net/article/431008252.html
2018年02月01日、映画『カタブイ − 沖縄に生きる』http://boketen.seesaa.net/article/456590436.html
posted by 呆け天 at 12:23| Comment(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月28日

沖縄の友人より(46)1.19沖縄県議会が、全会一致で「海兵隊撤退」などを決議

沖縄の暮らしを脅かす、相次ぐ米軍機事故。
「米軍は良き隣人ではない」(翁長知事)

昨年12月の普天間基地所属の米軍機からの部品や窓枠の落下に続き、今年に入って伊計島の海岸や読谷村への米軍ヘリの不時着など、米海兵隊の事故が相次いでいる。
翁長知事は記者会見で「最大限可能な限り飛行しないとした約束が破られたことは極めて遺憾。極東の安全を守る前に国民の安全を守り切れない」「米軍は良き隣人ではない」と強く批判した。
1月19日、沖縄県議会は全会一致で、@普天間所属米軍機の民間地上空での飛行中止、A普天間飛行場の来年2月までの運用停止、B海兵隊の国外・県外移転、C日米地位協定の改定などを求める意見書と抗議決議を採択した。
1月10日に行われたND(新外交イニシアティブ)主催「トランプ政権下の東アジア外交と沖縄」で講演したダグ・バンドウ氏(元レーガン政権特別補佐官、保守系シンクタンク上級研究員)は、「海兵隊は日本の防衛には何も関係がない」「日本政府が、沖縄の海兵隊を動かして欲しいと言ってくれば、アメリカも対応せざるを得ない」と語った。海兵隊のさまざまな事故・不祥事は、日本政府の対米従属政策がひきおこしている。

速報・南城市長選挙に勝利!
1月21日投開票の南城市長選挙に、オール沖縄の瑞慶覧朝敏さんが当選した。自民、公明、維新の推薦を受けた現市長は落選。安倍官邸に結びつき翁長県政の足を引っ張ることに注力してきた市長グループの一角を崩すことに成功した。

<写真>辺野古新基地を許さないたたかいは、キャンプシュワブゲート前で、ねばり強く、ひるむことなく続いている。
@1.20 辺野古ゲート前座り込み土曜行動。第1回目の資材搬入のあとゲート前に集まって抗議のこぶし。A1.20 第1ゲート前で手作りのプラカードを掲げる女性。B1.17 辺野古ゲート前座り込み。拘束された中から、ダンプの資材搬入に抗議して「違法工事を止めよ」とシュプレヒコール。
C1.17 県警の座り込み排除は乱暴の度を増している。ゴボー抜きで地面に倒された女性の足を引っ張る。D1.17 本部港からの砕石搬入に抗議し、大浦湾側のK9護岸に向かおうとするカヌーチームをさえぎる海保の高速ボート。E1.13 ゲート前テント。土曜行動に150人。終日資材搬入なし。那覇島ぐるみバスで参加の県外メンバーがあいさつ。
F1.10 ND主催のダグ・バンドウさん(ケイト―研究所上級研究員)講演会に150人。発言する猿田佐世ND事務局長。G1.10 ゲート前。資材搬入を終えて出てくる工事車両対し「違法工事やめろ」「海兵隊出ていけ」と訴え。H1.10 ゲート前。あいさつする高江住民の会の伊佐さん、安次嶺さん。
I1.9 平和市民連絡会の対県交渉。30人参加。「知事権限行使」を求める要請書を読み上げる高里鈴代共同代表。J1.8 辺野古の海に延々と伸びるフロート。海保のゴムボートは9隻。海保の仕事は埋め立て工事のガードマン。K1.7 ヘリ基地反対協の浜のテント。浜での座り込みから5000日を越えた。「勝つ方法はあきらめないこと」

自民党の松本文明内閣府副大臣が1月26日の衆院本会議で、沖縄の米軍ヘリのトラブルを巡る質問に対し、「それで何人が死んだんだ」とやじを飛ばした。いまや自民党国会議員には、ネトウヨ・バカウヨ代表のような人間がゴロゴロしていることを端的にしめす事件です。
同じ自民党議員でも、先日亡くなった野中広務などは、沖縄戦での沖縄県民の犠牲に思いを馳せる発言をいろんな場でしていたものでした。安倍政治のもとで、腐りはてた自民党議員が増殖している事態に、どこで、どう歯止めをかけるのか。
たたかい続ける沖縄のみなさんに、敬意と連帯を表します。
posted by 呆け天 at 11:21| Comment(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする