2017年07月03日

2017都議選・都民の審判。自民惨敗と「都民ファースト」の圧勝。

『悪魔くん』(水木しげる)の名場面を思い出しながら。

7月2日に行われた東京都議選の結果は、自民党が57議席から23議席に激減し、「都民ファーストの会」がいきなり49議席を得て第1党となるという、劇的な結果となった。
自民党が過去最低の議席数だったのは2009年の38議席で、この時は都議選惨敗のあと民主党への政権交代がおきた。今回はさらにそれを大幅に下回った。安倍ブラック政府にとっては、沖縄以外で示された初めての「No!」という民意であり、驕りたかぶった政権運営になんらかの影響がでざるを得ない。
公明党は、巧妙に「国政と都政は別」という理屈をこね、小池与党として全員当選した。自民党の惨敗は、公明党の支えがないと都市部の選挙では勝てないことの実証にもなった。これから日本の政治にとって公明党の役割・比重はいっそう増す。
民進党は、沈没船からネズミが逃げ出すように、離党して「都民ファースト」に鞍替えする候補者が相次ぎ、5議席を確保するのがやっとだった。
共産党は安倍政権に真正面から敵対する唯一の党というポジションを得て、17議席から19議席に議席を増やした。安倍政治に対する危惧や怒りの、いまのところほぼ唯一の受け皿です。

誰でも連想することだろうが、この成り行きはフランスのマクロン大統領の登場と新党「共和国前進」の圧勝に、酷似している。
いままで与党だった社会党が惨敗し、日本でいえば自民党にあたる共和党も沈んだ。つまり、既成政党の政治(保守・革新の2大政党政治)にはうんざりした、誰かなにかを変えてくれ!という叫びです(トランプ政権の誕生も同じながれでしょう)。
呆け天は安倍嫌いですから、自民党の惨敗は大歓迎です。しかし、「都民ファーストの圧勝」の図を見ながら浮かんできたのは、水木しげるの名作『悪魔くん千年王国』の一場面でした。悪魔くんが地面に魔法陣を描き、「エロイム・エッサイム!!われはもとめうったえたり!」と呪文を唱えると、大地が液状化し、そこからなにかが現われる…。
悪魔くん.jpg
小池百合子は、「日本会議」の構成員であり、石原慎太郎の「現憲法即時停止」案に賛意を表したことがあり、核武装論者であり、べつに安倍となんら変わらない右翼政治家です。今回の選挙でも、自民党は批判するが、安倍は批判しないという、とても賢いふるまいを見せました。
細川護熙(日本新党)、小沢一郎(自由党)、小泉純一郎(自民党)など、そのとき権力中枢にいる政治家をわたり歩き、「日本初の女性宰相」になるという政治的野心に向かってつき進む。ある意味とても正直な「自分ファースト」の政治家です。「クール・ビズ」のときにみせた鮮やかな政策実行力もあり、都知事選での「ブラックボックス=自民党都議団」攻撃など、ケンカ上手、選挙上手なことも群をぬいています。
いったい、彼女がめざす政治はどこへ向かうのか。

ある実業家の予見が気になる。

少し前の話しになるが「中央公論」5月号が「ポピュリズムは民主主義を破壊するか」という特集をくんだ。そこに「欧州を覆う暗雲の行方は?大衆のマグマは、日本にも溜まっている」(遠藤乾・水島治郎)というヨーロッパの動向と日本を対比させた興味深い対談が載っている。対談の最後に、ある実業家のいったこととして「自民党は2021年に安倍で幕引きとなり、小池新党、橋下新党、小泉進次郎新党が政界を再編成してしまう」局面がくるという予見が紹介されていた。
ありうるなあ。
今回の選挙結果をみれば、いっそう現実味が増します。
民意は、どんな政治をよびだすのか。全世界を覆うポピュリズムの大波は、人間社会になにをもたらすんだろう。面白いような、こわいような。

今日のところは、自民党の惨敗に、とりあえず、乾杯。
悪魔くん千年王国 (ちくま文庫) -
水木しげる『悪魔くん千年王国(全)』ちくま文庫、1988年、740円+税。
関連:青木理「小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者」https://dot.asahi.com/aera/2016110900191.html
2017年06月08日2ヶ月過ぎてから、清水ミチコのライブ芸が分かるhttp://boketen.seesaa.net/article/450647693.html
posted by 三鷹天狗 at 10:51| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月27日

「第57回三鷹 自分の死を考える集い」に参加

「食べないから死ぬ」のではない。「死ぬ時がきたから食べない」のだ。

6月25日(日)に、三鷹市市民協働センターで開かれた「第57回三鷹自分の死を考える集い」に参加しました。
これは『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎新書、2012年)を書いた中村仁一医師の考えに賛同した、醤野良子さんという三鷹在住の看護士の方が開いている会です。2ヶ月に一度くらいのペースで開催されているようですが、私は初めて参加しました。
当日は、中村医師の講演「超高齢化社会での逝き方を考える」DVD上映(約70分)がメイン、参加者は40人ほどでした。講演内容は『大往生したけりゃ…』に書いてあることですが、話しがうまくておもしろい。三鷹会場でもなんども笑いがおきました。

今回の講演DVD上映で、強く印象に残った中村語録いくつか。
1、気持ちに体を従わせるな。体に気持ちを従わせる
齢をとったら、老化してヨレてくるのはあたりまえ。「老いに負けない」などという気持に、体を従わさせようとしてはならない。老いて衰えてきた体に、気持ちを従わさせなさい。
2、人間ドック・健診の賞味期限は、当日限り
人間ドックや健康診断を受けるのはまったくのムダ。自覚症状もない病気を見つけられるだけ。「半年前の健診で大丈夫だったのに…」という嘆きをよく聞くが、人間ドック・健診の賞味期限・有効期間は当日限りです。数ヶ月にいっぺん、ビクビクしながら健診をうけるのは、人生のムダ遣い。
3、「食べないから死ぬ」のではない。「死ぬ時がきたから食べない」のだ。
自分の老人ホームで、何百例も自然死を看取ってきた。じつにおだやかで幸せな死です。食物をとりたくなくなり(1〜2ヶ月前から)、そのうち水分もとりたくなくなり(約2週間前から)、気持ちよさそうに死んでいく。痛みなど、なにもない。それが本来の人間の死です。
介護現場では「食べないと死ぬ」という強迫観念にとりつかれた介護士が、むりやり口をこじあけて流動食や水を流し込む。これは拷問です。人生の最後になんでそんなむごい目にあわされるか。
「死ぬ時がきたから食べない」というのが、動物としての人間の自然な姿なのだ。
4、死ぬときくらい、静かに
死ぬまぎわに家族が枕元で叫んだりするのは、気持ちよく眠りにつこうとするときに大声で起こされるようなもの。そんなばかなことはやめよ。死ぬ時くらい静かに眠らせてやれ。
医療虐待、介護虐待、死ぬ間際の大さわぎといったことからまぬがれるには、孤独死がいちばん。彼らはきっと幸せに死んだにちがいない。

笑いを混じえて語られるこれらの言葉の説得力は、すばらしいものでした。話しのじょうずなお坊さんの説法に似ています。

医療虐待、介護虐待にあわないための準備をしておこう

中村医師の言ってることはとてもシンプルです。
生殖期が終わった人間はいつ死んでもいい。老化を病気と言いかえるな。ボケを「認知症」と言いかえるな。ガンは細胞の老化だから、これを食い止めようとするな。老いたらガンがいちばんいい死に方。めざそう自然死。枯れ木のようになって死のう…。
わたし、ぜんぶ賛成です。
唯一賛成できないのが、生前に棺をつくって入ってみようという提案。これは名著『笑うカイチュウ』(1994年)で藤田紘一郎医師が「体内にいっぴきサナダムシを飼おう」という提案しているのに賛成できないのと同じです。なにからなにまで「先生のいうとおり」と思う必要はない。
著作では、医療虐待、介護虐待という理不尽なめにあわないためには、本人がしっかりとその意志を文章にしておく必要があること、その書き方なども示されています。いやはや、人間、なかなか楽には死なせてもらえないもんですね。
当日、会場で『大往生したけりゃ…【介護編】』が発売されていたので購入しました。これからも、くりかえし中村医師の著作を読んで、死ぬ心構えをします。

「三鷹 自分の死を考える集い」の、持続する活動に敬意を表して、乾杯。
自分の死に方.jpg 大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書) -  大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】 2025年問題の解決をめざして (幻冬舎新書) -
「第57回三鷹自分の死を考える集い」6月25日(日)14:00〜16:00、三鷹市市民協働センター
中村仁一『大往生したけりゃ医療とかかわるな』幻冬舎新書、2012年、760円+税。
中村仁一『大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】』幻冬舎新書、2017年、840円+税。
関連:2015年02月26日、特定健診で、超早口女医にタジタジhttp://boketen.seesaa.net/article/414699000.html
posted by 三鷹天狗 at 08:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月25日

共謀罪やがて川柳とりしまる (呆け天)

新葉館Web川柳で「秀作」入選。うれしいなあ。

安倍ブラック政府に対抗する言論のひとつに、川柳世界があります。
持ち駒は嘘(うそ)と強弁 安倍将棋(6月24日、神奈川、門口泰宣)
こういう句が、毎日載っているのだから、権力者にとってはめざわりなことです。わたしが見ているのは朝日川柳ですが、まさか読売や産経の川柳欄では安倍をたたえる川柳が載ってるということはないはず(確かめてはいませんが)。川柳の本質は批評性であり、時の権力におもねった川柳というものは、そもそもあり得ない。
いまのところ実現しそうにありませんが、もし日本で北欧の社会民主主義政権のようなものができれば、川柳子はてぐすねひいて批評し、茶化し、笑いのめすでしょう。そういう文芸です。
これまでは朝日川柳をみて「うまいなあ」と感心するだけでしたが、安倍ブラック政府のあんまりひどいやりくちに、呆け天のこころの中にも、ポロリポロリと川柳がこぼれおちはじめました。
<4月にできた句>
森友のメル友すばやくばっくれる
かご池や昭恵逃げ出す水の音
金正恩その髪型はバカっぽい
<5月にできた句>
共謀罪やがて川柳とりしまる
米朝がおっかない芸ふりまわす
忖度で不可能すべて可能にし

できたものが「川柳」になっているか、たしかめたくて新葉館Web川柳に投稿しました。
このサイトは、月刊「川柳マガジン」を発行している新葉館出版が開設しています。時事、題詠、ユーモアの3部門に誰でも応募できます。部門ごとに、特選3句、秀作10句、佳作40句前後が選者によって採られます。
そうしたら、4月の3句のうち<かご池や昭恵逃げ出す水の音>を佳作にとっていただきました。他にユーモア部門にだした「ふと立ってなぜ立ったかを沈思する」も佳作に。
さらに、5月の3句は、第1句目の<共謀罪やがて川柳とりしまる>が秀作に、他の2句が佳作に採られました。
とってもうれしい。

川柳という文芸、その楽しさ、そのすごみに内側から触れてみる

川柳は昔から好きです。<役人の子はにぎにぎをよく覚え><居候三杯目にはそっと出し>などの句は、べつに川柳という意識もなく、少年時代になんとなく覚えていました。周囲の大人(先生とか親とか)が口にしたものを聞き覚えたんでしょう。
田辺聖子『川柳でんでん太鼓』(講談社文庫)、佐藤愛子『古川柳ひとりよがり』 (集英社文庫)、山藤章二『人の噂も五七五 』(文藝春秋)など、川柳についてのすばらしい本にも感化されてきました。川柳作家では、時実新子が阪神淡路大震災のとき詠んだ<天焦がす天は罪なき人好む>という週刊朝日に掲載された1句など、今も脳裏を離れない。
しかし、小説であれ俳句・川柳であれ、読んで楽しむものであって、自分で創るものではないとずっと思ってきました。
今回、新葉館Webサイトに投句して、おもいがけなく「入選」となり、そうか、気楽につくればいいのかと考えが変わりました。もちろん今回の入選は「ビギナーズラック」まぐれ当たりです。継続して入選できるようになるには、何ヶ月も何年もつくり続ける必要があります。できるのか?という疑いもありますが、しばらくのあいだ、川柳創作を趣味の一つにくわえ、その楽しさ、そのすごみに、内側・創る側からも触れてみることにします。

新葉館川柳Webサイト「秀作」入選に、乾杯。
川柳でんでん太鼓 (講談社文庫) -  古川柳ひとりよがり (集英社文庫) -  人の噂も五七五 (1984年) -
関連:新葉館Webサイトhttps://shinyokan.jp/navi/kukai/
2014年09月22日、川柳おそるべしhttp://boketen.seesaa.net/article/405816634.html
2016年09月24日、20代限定のサラリーマン川柳http://boketen.seesaa.net/article/442206354.html
posted by 三鷹天狗 at 08:50| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする