2017年09月26日

「少女の夢 湯にきらめく」ーNHK小さな旅・9月24日

さながら、短篇映画の佳品を見るような映像

日曜日の朝は、NHK「さわやか自然百景」の美しい映像と音楽。続けて「小さな旅」が流れている。
見るともなく見ながら、途中で「これどこの町なの」などと旅先を確認したりする。ふたつの番組とも、じつに丁寧なつくりで、「ながら見」などという失礼な態度では申し訳ないくらいのものだ。休日にふさわしく、こころが自然におだやかになってくる番組です。
9月24日(日)の朝も、なんだかどこかの温泉のようだな、などとぼんやり斜め見していましたが、途中から画面に釘付け状態になりました。レポーターの山本哲也アナウンサーが入った食堂で、小さな少女が注文をとりにくる。店を手伝っている小学2年生・松本葵ちゃんだ。両親がやっている店を、忙しい時に自然に手伝うようになったという。
1000年以上の歴史をもつ城崎温泉(兵庫県)が、旅館、土産物屋、遊技場、外湯(立ち寄り湯)などの「共存共栄」で栄えているさまを、手際よく伝えながら、番組はこの少女にフォーカスしていく。
2歳年下の妹をつれて夜の温泉町のにぎわいを楽しむ少女。1学年30人という同級生たちとの交歓。温泉町の全体がこの少女を包み、見守っている。少女もまた温泉町のにぎわいを構成するかけがえのない一員であり、この町の未来でもある。
やがて妹も店の手伝いにでて、客に水を出したところまでは良かったのだが、厨房に戻るところでスッテンコロリンとみごとに転んでしまう。母親にしがみついて大泣きする妹にかわり、笑顔で接客をつとめ、妹になにか甘いものをあげてなだめる葵ちゃん。いやはや、ここで70老人の目にはじんわりと涙が浮かびました。
さながら、よくできた短編映画を見ているようです。天使のように、という形容がしたくなる少女と妹の姿。日々の商いに精をだしながら、町を存続・発展させるために労を惜しまない親たち。城崎温泉にひきつけられ、ひとときの休暇を楽しむ温泉客。そのすべてが醸し出すハーモニーに、酔いました。

そういえば、豊岡市・城崎は持続可能な町のモデルだった

見終わったあとに思い出したのですが、平田オリザ『下り坂をそろそろと下る』(2016年)で、城崎国際アートセンターの活動が「持続可能な地方都市モデル」としてとりあげられていました。無用の長物になりはてていたコンベンションセンター(1000人収容)の再利用アイデアを探るうちに、平田オリザと出会い、世界からアーティストを呼んで長期滞在型芸術活動をしてもらうことになった。これがあたり、たくさんのアーティストが城崎にやってきて、さながら国際芸術都市のようになってきている。これと、伝統の城崎温泉がコラボすることでいっそうのにぎわいが…というようなお話しでした。
今回の映像では、そのことはみじんもでてきません。ただひたすら少女・松本葵の魅力でひっぱっています。
城崎か、遠いなあ。行けるときがあるだろうか。

城崎の温泉町で天使のように輝いている少女の映像に、乾杯。
「城崎温泉 写真」の画像検索結果
写真はWebサイトより
「少女の夢 湯にきらめく」ーNHK小さな旅・9月24日(日)8:00〜8:30。
関連:2016年08月23日、平田オリザ『下り坂をそろそろと下る』http://boketen.seesaa.net/article/441261436.html
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2017年09月19日

亡き友を偲んで、秋田に集う

8月に亡くなった旧友を悼んで、「偲ぶ会」が秋田市で開かれ、参加した。参集したのは全員60代後半〜70代の老人10数名。故人との思い出話しを一人ひとりが語り、酒好きだった故人がその場にいるような酒席となった。
亡くなったKさんは、高校時代の先輩であり、「番長グループ」の一人として知られた、いまでいうツッパリだった。ただ、50数年前の秋田県南部の不良というのは、大坂の『岸和田少年愚連隊』(中場利一)に出てくるような不良ではまったくなく、他校の腕っぷし自慢とケンカしたり、隠れて酒を飲んだ、タバコを吸ったという程度の、牧歌的なものだった。
そのKさんが、やや遅れて学生運動に参加し、第2次羽田闘争(1967年11月12日)であわや失明というケガをおったあたりから、東北地方にも「新左翼」や「全共闘」の影響が広がっていった…。
当日は秋田城跡・千秋公園でおおがかりな花火大会が行われており、宴席となった居酒屋「からす森」2階の窓からもときおり花火が見えるという絶好のロケーション。夕方5時に始まった会が、おひらきとなったのが10時。酒豪だったKさんを偲ぶのにふさわしい、酒また酒の会でした。
Kさん、おつかれさまでした。残された者たちは、もう少し生きてからそちらに行きます。

次の日は、千秋公園、美術館、民俗芸能伝承館などを歩きまわって、久々の秋田にひたりました。
千秋公園。城跡にしてはゆるやかな丘です。いかにも太平の江戸時代の城にふさわしい。春はつつじ、秋は紅葉が美しい公園ですが、この時期は緑の濃さ・深さが印象に残ります。お濠は、蓮で埋めつくされています。
千秋公園6.jpg 千秋公園.jpg 千秋3.jpg
秋田県立美術館。2013年に新館がオープン。旧館同様、藤田嗣治の大作『秋田の行事』が圧倒的なメインです。写真撮影禁止なのでWebサイトにある写真を借りますが、いつ見てもみごとな作品です。2階ラウンジからの、美術館の水庭と千秋公園の堀を一体化させた景観が秀逸です。
秋田の行事.jpg 県立美術館.jpg
民俗芸能伝承館・ねぶり流し館では、ちょうど竿燈の実演・体験中でした。2階に展示の秋田萬歳の人形が、なぜか志の輔によく似ている。
民俗伝統.jpg 竿燈.jpg 秋田萬歳.jpg
赤レンガ郷土館は1912年(明治45年)建築の旧秋田銀行本店を活用した施設で、国の重要文化財指定を受けています。秋田の風景を版画にした勝平得之(かつひらとくし)のすばらしい作品が常設展示されている。企画展で、秋田市出身のマンガ家・倉田よしみの作品展が行われており『味いちもんめ』の原画やみごとなイラスト多数が展示されています。
赤レンガ2.jpg 勝平得.jpg 倉田よしみ.jpg
東海林太郎音楽館を初めて見学。私設で、無料で、こういう記念館を運営しているのはたいしたものです。同じ場所に「大鵬」ギャラリーもある。ふたつを支えているのは秋田では有名な老舗の菓子舗「榮太楼」です。創業1883年(明治16年)ですから、134年の歴史がある。「榮太楼」は戦後、系列の旅館「榮太楼」を営んだ(1947年〜2006年)。秋田巡業のとき宿泊した横綱大鵬が、旅館の長女・小国芳子さんを見染めて結婚したエピソードは、大鵬の伝記のハイライトのひとつになっています。
旧友、Kさんの冥福を祈って、献杯。
ふるさと秋田の、弥栄を祈って、乾杯。
2015年01月28日、中場利一『この子オレの子!』http://boketen.seesaa.net/article/413090688.html
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2017年09月11日

第20回江戸やっこまつりー和太鼓と民舞の祭典

和太鼓のひびきにひたる

ツレの友人が出演する和太鼓の演奏会が調布であり、チケットをいただいたという。自転車でサクサクでかけて見学しました。首都圏の、30を超える和太鼓アマチュアサークルの演奏会です。
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卓越したリーダーが統率するスタイルの演奏があるかと思えば、全奏者が完全に均等に見せ場がある民主主義の団体もある。障がい者とその家族で構成された大人数の集団もあるし、4〜5人という小集団もある。
楽しくなくっちゃ太鼓じゃないという王道エンタメ系、武満徹かよといいたくなるような繊細な和太鼓のひびきを追及する芸術派、技術・テクニック命の職人気質集団…実に個性的です。
年齢の巾はかぎりなく広い。小学校低学年くらいの子どもから、60〜70代と見えるひとまでが、それぞれの持ち場でたたくたたく。よくもまあというほど多様で、競技性もない。それぞれの団体が、それぞれの流儀で楽しんでいる。観客側もほとんどが自ら演奏する人たちなので、のりよく、あるいは真剣に、他の団体の演奏を見ている。みなさんの和太鼓への愛、楽しくってしょうがないというエネルギーが、会場に満ちています。
アマチュアが、月1〜2回の練習を積み重ねるだけでこれほどの演奏ができるものなのか.。狛江で活動しているという「きんたの会」の演奏など、強く印象に残りました。
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秩父屋台囃子のシブい演出(左上)。おわら(八尾)を演奏するグループ(右上)もありました。
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ツレの友人が出演した沖縄エイサーはゲスト出演という位置づけのようですが、最後は会場全体を巻き込んでの円舞で盛り上げていました。

和太鼓の陽気なひびき、出演のみなさんの和太鼓愛に、乾杯。
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「第20回江戸やっこまつりー和太鼓と民舞の祭典」9月10日(日)12:30〜17:30。調布グリーンホール・大ホール。
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