2016年11月30日

上村雄彦『不平等をめぐる戦争 グローバル税制は可能か?』

1%の、1%による、1%のガヴァナンス(統治)。
   人類は「富裕層による独裁」を打ち破れるか。

世界の金融資産の81.3%を、世界の0.14%の富裕層が所有している。
62人の大金持ちが、世界の所得下位36億人分(世界人口の半分)に相当する資産を保持している。
世界のGDP(国内総生産)の総計は約8590兆円。世界のタックスヘイブン(租税回避地)に秘匿されている金はざっと5000兆円。
これらの数字をつぎつぎにあげ、上村は現代世界は「富裕層による独裁」の世界だと断定する。
「1%の、1%による、1%のガヴァナンス(統治)」─それが現代世界である。
世界の飢餓、貧困、格差は、富裕層の独裁(金融独裁)が引き起こしているのであり、この資産を的確に補足し、公正な税の徴収と配分(グローバル税制)を行うことができれば、問題は解決に向かって動き出すと上村は主張する。

警世の書であり、希望の書です。
「国際的な金融取引に税金をかける?そんなことは世界政府でもできなければ無理」という常識に、上村は辛抱づよく反論し、説得します。
むしろ話は逆でしょう。世界政府ができてからグローバル税制ではなく、グローバル税制のためのあれこれの試行錯誤が、世界政府を準備するんです、と説きます。
フランスが発案し、14か国が参加して実施されている航空券連帯税。航空券購入時に上乗せして乗客から徴収し、国際的な感染症(エボラ出血熱、デング熱など)対策などの費用にあてる。人間の国境を超えた移動が、これらの感染症拡大の原因だからです。これなんか、日本も国会で批准すればすぐにスタートできる。
金融取引税。これは1970年代初頭にジェームズ・トービン(ノーベル経済学賞)が提唱し、トービン税の名で知られる通過取引税のアイデアがはじまり。現在は、すべての金融取引に課税する金融取引税が、EUなどで、現実味を帯びた政策として議論されている。
なにかと危ういといわれているEUだが、統一通貨をあせってやらないで、金融取引税をさきにやるべきだったなあ。これが実施できたら、EUは人類史に残る偉業をなしとげることになる。フランスにはATTAC(アタック)という強力な市民団体があり、金融取引税の実現を後押ししているという。さすがです。
ほかに、タックスヘイブン利用税、グローバル累進資産税、多国籍企業税、武器取引税など、国境を超えた課税=グローバル・タックスが論じられ、しかもIT技術を駆使したそれらの取引を、IT技術で補足することは可能だという議論にすすみます。
ぜひ、実現してほしい。
人類が直面している、最大級の課題のひとつが、このグローバル税制であることは、まちがいありません。
上村たちの活動は、ネットでも読むことができます。「国際連帯税フォーラム」http://isl-forum.jp/

革命ナシで論じる「不平等をめぐる戦争」

上村は、「万国のプロレタリア団結せよ」ともいわないし、まして「平等いのち」の社会主義に言及することもしません。
いまの世界のシステムを、少しづつ変えていくことでこの絶望的な不平等社会、「富裕層の独裁」社会を変えていこうよと、説いてやみません。
なんか、ため息がでます。
ソ連社会主義の実験の終焉。中国「社会主義」の不平等格差社会の現実。ふたつの事実の前には「いんや、あれはほんとうの社会主義ではない」という議論は無効です。
革命ナシで、不平等をめぐる戦争=富裕層独裁の打破は勝利できるのか。

上村雄彦の、渾身の問題提起に、敬意を表して、乾杯。
不平等をめぐる戦争 グローバル税制は可能か? (集英社新書) -
上村雄彦『不平等をめぐる戦争 グローバル税制は可能か?』集英社新書、2016年、740円+税。
posted by 三鷹天狗 at 08:33| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月28日

水木しげる一周忌でスタンプラリー

水木しげるが93歳で亡くなって11月30日で1年になります。
調布では一周忌にあたってさまざまなイベントが行われました。
その一つが「ゲゲゲのスタンプラリー 水木しげるさんが愛したまち調布」(11月23日〜30日)という企画。水木しげるゆかりの場所11カ所をまわってスタンプを押す、全部まわればごほうびに鬼太郎カレンダーをあげますというもの。
ふだん自転車散歩で歩いているところばかり。カレンダーがどんな絵柄かも気になるので、27日(日)にサクサクとまわってみました。

いやあ、水木人気はたいしたものです。
どこのスタンプ場所にも、家族連れの姿があります。メイン会場の布多天神社では、鬼太郎、ねずみ男、ねこ娘が子どもたちを喜ばせています。水木しげるの故郷・境港からの直送をうたったかに汁など屋台もたくさんでて、大にぎわいです。
ゲゲゲ20161127120804.jpg かに20161127115614.jpg ゲゲゲ20161127115755.jpgかに汁、美味
11カ所は@鬼太郎茶屋A布多天神社B天神通りC調布北第一自転車駐車場&妖怪ポスト(巨大な鬼太郎イラストが描かれたビル)D真光書店(水木が愛用した書店)E調布市文化会館たづくり(献花台を設置)Fベーカリー&カフェふぁんふぁーれ(ゲゲゲの鬼太郎妖怪焼きで人気)G下石原八幡神社(ねこ娘が住んでいたことがある)H西光寺(水木の『夢をつかみそこねる男』の主人公・近藤勇の墓と胸像がある)I覚證寺(水木の墓がある)J調布銀座(水木が常連だった喫茶店がある)。
ゲゲゲ20161127114258.jpg 献花台20161127122833.jpg
               鬼太郎茶屋                               文化会館たづくりの献花台
ゲゲゲ20161127132349.jpg ゲゲゲ20161127133624.jpg
              西光寺の近藤勇胸像                            覚證寺の武良家の墓
完走した人には鬼太郎カレンダーがプレゼントされました。わたしもしっかりもらいました。
カレンダー20161127142227.jpg ゲゲゲ2.jpgゲゲゲ3.jpg
      鬼太郎カレンダー                  11個のスタンプ
調布と日本に、大きな足跡をのこした水木しげるの一周忌に、献杯。
関連:2014年09月14日、調布自転車散歩・水木しげるワールドhttp://boketen.seesaa.net/article/405319133.html
posted by 三鷹天狗 at 06:30| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月26日

54年ぶりだという、11月の初雪

いきなり降りました11月24日の初雪。東京では54年ぶりとのことです。
一夜明けた25日の早朝散歩。
ほとんど溶けていますが、コースの〆の神代植物公園自由広場だけは白銀の世界。
芝生の上の雪は溶けにくいんですね。
つい数日前に撮った紅葉の風景が、ビフォーアフター風に姿を変えているのも一興です。
自由広場20161120080223.jpg 自由広場20161125070448.jpg
自由広場20161120080211.jpg 自由広場20161125071125.jpg
民家でも、生垣が大きく奥行きの深い旧家風のお宅には雪の風情が残っています。さすが。
雪20161125065315.jpg
posted by 三鷹天狗 at 08:46| Comment(0) | 散歩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする