2016年10月31日

沖縄の友人より(17)10月12〜14日の、高江でのたたかいの様子です

沖縄の友人から、高江でのたたかいの様子が送られてきました。
4枚目の写真は、10月12日に、座り込みに参加したベトナムと韓国からの参加者です。
韓国の女子学生は、「米軍基地の問題は韓国も抱えている。沖縄の闘いに学びたい」と日本語で述べた。
また、VFP(ヴェテランズ・フォー・ピース)のTシャツを身に着けたベトナムのレイ・リー・ヘイスリップさんは、オリバー・ストーン監督の映画『天と地』の原作者だが、今回の高江訪問について、「祖国が外圧にさらされる苦しい記憶を抱いてきた。戦争を経験したからこそ、みなさんが平和のために声を上げる気持ちに共感できる。状況を知るだけでなく、ともに声を上げる気持ちで来た」と語った。
高江は、辺野古と同様、平和や人権を共通のキーワードに世界の人々が集い出会う場になっている。

@2016.10.12 高江N1ゲート前集会。400人結集。ダンプを止める。
2016.10.12 高江N1ゲート前集会%u3002400人結集%u3002ダンプを止める%u3002.jpg@
A2016.10.14 高江N1砕石集積場。機動隊とガードマンに守られて作業する
B2016.10.14 高江N1砕石集積場。早朝のやんばるの森。北部訓練場の中から金網越しに撮影
2016.10.14 高江N1砕石集積場%u3002阻止線を張る防衛局と機動隊とガードマン.jpgA2016.10.14 高江N1砕石集積場%u3002早朝のやんばるの森%u3002北部訓練場の中から金網越しに撮影.jpgB
C2016.10.12 高江N1ゲート前であいさつするベトナムと韓国からの参加者

本土から派遣された機動隊員が、高江ヘリバッド反対で座り込んでいる人びとを、「土人」などとののしったことが報じられています。「在特会」が新大久保で「韓国人殺せ」などと叫ぶヘイトスピーチが、日本の警察・機動隊にまでくいこみじはじめていると感じます。安倍政治が続く限り、この事態はとまりません。公務員の「憲法遵守義務」は、もはや死語と化しつつあります。

辺野古で、高江で、米軍基地と安倍の暴政に立ち向かう沖縄のみなさんに、敬意を表します。
posted by 三鷹天狗 at 09:49| Comment(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月29日

中島京子『彼女に関する十二章』

52歳女性の心の揺れが、60年前のベストセラーと響きあう

宇藤聖子52歳、東京郊外の分譲マンションに住む主婦。週3回ほど事務のバイトもしている。
夫・守は、零細編集プロダクションを営むライター。聖子とは学生時代からの友だち夫婦。
息子・勉は、関西で大学院生になった。女友達もいないみたいだ。
夫の弟・小次郎(通称)はゲイで料理上手。恋人の医者と一緒に台湾へ。
更年期障害のあれこれに悩まされたりしながら、聖子さんの日々にたつ小さな波風を、いとおしむように綴る小説です。聖子には「脳内独白」のクセがあり、けっこう毒を吐いたりもするのですが、口には出さず、にっこり微笑んで「いい人」と思われて暮らしています。

作者の得意技である、旧い文学作品を換骨奪胎して新しい物語によみがえらせる手法が、本作でも鮮やか。60年前のベストセラー、伊藤整『女性に関する十二章』が、そのままの章立てで本作の進行とリンクする。
私のようにその作品を読んだことがない者にも楽しめるように、巧妙な引用と解説がほどこされ、二つの作品がハーモニーとなって響きあう。
伊藤整のエッセイは1954年の『婦人公論』に掲載された。伊藤はエッセイを「私がこの文章を書こうとしている雑誌は、日本の婦人雑誌のうちで、もっとも高級だと認められている『婦人公論』です」と書きだす。
中島の作品は2014年の『婦人公論』に連載された。60年の時を経て、同じ雑誌に、あそび心満々の小説が掲載される。伊藤整先生もあの世で呵々大笑されるにちがない、上出来のユーモア小説です。
中島の伊藤整へのリスペクトは、「第九章 情緒について」で存分に発揮されます。夫・守の口を借りて、伊藤がこの章で言いたかったのは「情緒に流されたら危険だよ」ということだと、解説していきます。戦後の民主化と非軍事化を逆もどりさせるような「逆コース」の終点としてこの年、自衛隊が発足した。そのころ、さかんに「日本的情緒」がもてはやされた。
伊藤は「我欲の調和ある生かし方を否定したら、モトノモクアミです」ということばで、そうした風潮への警鐘をならした。個人(我欲)を捨てさせる社会は、「一億玉砕」を叫ぶ社会に戻りかねないよ、モトノモクアミになるよという警告です。
「この六十年前のベストセラー作家は必死で、一所懸命、読者に訴えたんだよ。情緒に流されたら危険だって。ユーモアに包んだ、軽妙でちゃらんぽらんにすら見えるエッセイの中で。きっと、戦時中にはまっとうな声を上げられなかった知識人の一人として、どうしてもやらなきゃって思ったんだと思うよ。」

初恋の相手の息子が現われたり、「カネを使わないで生きる」元ホームレスとの関わりができたり、息子が見栄えの芳しくない三つ年上の哲学研究なかまの恋人を連れてきたり。聖子の周辺のあれこれが、ありそななさそな、笑えるエピソードで彩られます。
いろいろあるけど生きていこう。「今日と明日は違う一日で、それぞれ新しいことを体験する。それを知るだけでも意味はある」という、聖子の「脳内独白」が全体の結びです。いいなあ、中島京子の小説は。いつも希望の光につつまれて終わる。

『伊藤整氏 奮闘の生涯』を久々に拾い読みする

底本になっている『女性に関する十二章』だけでなく、伊藤整の著作を一冊も読んだことがありません。関川夏央など、文芸評論的なものを書く人の本には伊藤整の名は繰り返しでてきますから、よほど大切な仕事をした人だなということは伝わってきます。
私は、伊藤整の次男・伊藤礼の著作のファンで、囲碁・狩猟・自転車・農園の、どの趣味をあつかったエッセイも大好きです。なかに『伊藤整氏 奮闘の生涯』(講談社、1985年)という、やや異質の一冊があります。おもわず本棚から引っぱり出して拾い読みしました。オビに「文壇随一の知性 伊藤整氏の優雅ならざる日々と裸像」とあるとおり、4人の子どもを抱え、戦火の日本、戦後の窮乏を生き抜く、知識人であり生活者である父の姿を、「彼」という三人称で淡々と、しかし時にふきだすしかないユーモアをまじえて描いています。みごとなまでに伊藤整の文学的業績には触れない本です。
生き抜いた伊藤整が、文壇の人の枠を超えて放った大ヒットが『女性に関する十二章』でした。以後しばらく出版界では『○○に関する十二章』という「十二章本」ジャンルができたほどだったそうです。

名手・中島京子の手でよみがえった『女性に関する十二章』に、乾杯。
彼女に関する十二章 -  
中島京子『彼女に関する十二章』中央公論新社、2016年、1500円+税。
関連:2015年07月01日、中島京子『長いお別れ』http://boketen.seesaa.net/article/421563410.html
2015年04月01日、中島京子『かたづの!』http://boketen.seesaa.net/article/416596771.html
2014年08月10日、中島京子「『戦前』という時代」http://boketen.seesaa.net/article/403498474.html
posted by 三鷹天狗 at 11:15| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月27日

谷山博・編著『「積極的平和主義」は紛争地になにをもたらすか?! NGOからの警鐘』

浅薄な戦争ごっこを公開し(10/25朝日川柳より)

「在特会」(ヘイトスピーチ集団)の親密な仲間・稲田朋美が防衛大臣になるーホントにおぞましいことが安倍政権のもとで進行している。稲田は嬉々として南スーダンにでかけ、10月24日には陸上自衛隊岩手山演習場(岩手県)で「駆けつけ警護」の演習を公開した。
駆けつけ警護.jpg

浅薄な戦争ごっこを公開し(10/25朝日川柳、東京・大和田淳雄)
川柳子はさっそくこの行いを「浅薄な戦争ごっこ」と断じた。地上戦で自衛隊に犠牲者がでれば世論が一気に「戦争ができる国」になだれをうつという目論見ではしゃぎまわる防衛大臣。めまいがします。

昨年7月に発行された、谷山博・編著『「積極的平和主義」は紛争地になにをもたらすか?! NGOからの警鐘』は、現在の安倍政権の愚かなふるまいを予見し、「駆けつけ警護」なるものが戦争・紛争の現場でまったく不可能かつ無意味であり、NGO活動の妨害にしかならないことを、徹底的にあきらかにしています。
日本国際ボランティアセンター(JVC)は、ポルポトが倒されたあとの1980年にカンボジアに入り、まだポルポト残党の攻撃の危険があり、日本大使館も領事館もない時代に、難民村で井戸掘り給水活動、孤児院支援などを行った。
「自衛隊がNGOを守らなくていいのかと安倍首相は言いますが、自衛隊が活動していない国、活動できない地域でもNGOは活動するわけです。」
これこそ、NGO(非政府組織)のNGOたるゆえんでしょう。
谷山たちは、いま焦点になっている南スーダン、世界最悪の紛争地域ソマリアなどで、非武装で、地域住民との信頼関係の構築だけをたよりに、難民支援など果敢な活動を展開してきた。自衛隊の「駆けつけ警護」など、せっかく紛争地域で得られている日本という国への信頼を、そこねる役割しかはたさないことがていねいに説かれます。
現代の紛争は世界大戦の時代とは大きく状況を異にしている。
(1)国家間紛争ではなくいわゆる民兵を含む武装勢力同士の内戦。
(2)軍属と一般人の見分けが難しい。
(3)外国軍隊に対して、振る舞いや誤爆などが原因で一般市民からの反発も大きい。
非武装であることにより、軍隊と一線を画し、「中立的な人道支援であることを明確にすることで、安全を確保することにつながる」というJVCの主張には、実践に裏打ちされた説得力があります。
安倍は、NGO活動の当事者からのハナシも聞かず、実情把握をいっさいしないで「NGO救助」を口実に使う。自衛隊による海外での武力行使という既成事実をつくることだけが、この内閣の目的になっています。そのうち、自衛隊が駆けつけられないところにNGOは行くな、などと言いだしかねません。2004年にイラクで人質になった高遠さんたちに「自己責任」論によるバッシングを行った者たちと、自衛隊の海外武装行動をもくろむものたちは、ぴったりかさなっています。

「平和へのリアリズム」を実践する人たちに敬意

戦争・紛争の現場にふみこんでいく日本国際ボランティアセンターのみなさんには、驚異と敬意しかありません。現場にいる人の目で、イラク戦争はアメリカがする必要のない戦争をしかけたものであること、「テロとのたたかい」の名のもとにパレスチナ住民に対するイスラエルのジェノサイドともいえる爆撃がおこなわれていることなどが、くっきりと描かれます。
住民たち自身の、平和への希求や知恵を信頼する「平和へのリアリズム」が、基調音になっています。
安倍や稲田のバカ騒ぎに対する、もっとも透徹した批判と実践が、この本にはつまっています。

安倍政権にたいするNGOからの警鐘に、敬意を表して、乾杯。
「積極的平和主義」は、紛争地になにをもたらすか?!: NGOからの警鐘 -
谷山博・編著『「積極的平和主義」は紛争地になにをもたらすか?! NGOからの警鐘』合同出版、2015年、1500円+税。
関連:2015年04月17日、中村哲『天、共にありーアフガニスタン三十年の闘い』http://boketen.seesaa.net/article/417433470.html

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posted by 三鷹天狗 at 08:44| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする