2016年05月30日

小熊英二の論壇時評「二つの国民」と、フランス「ヌイ・デブー」運動

放置された「第二の国民」の声を、誰がどのように代弁するのか。

朝日新聞木曜日の「論壇時評」は震災直後から5年間高橋源一郎が担当し、呆け天にとっては世の中の動向を見るための座標のひとつでした。
4月から小熊英二にバトンタッチされました。小熊も、世の中を長いスパンで、広くしかも詳細にみるという点にかけては異才といってよい仕事ぶりの人ですから、信頼がおけます。
5月26日には「二つの国民─所属なき人 見えているか」というタイトルで、現代日本が「二つの国民」に分断されていると論じています。
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「第一の国民」は、企業・官庁・労組・町内会・婦人会・業界団体などの「正社員」「正会員」とその家族。「第二の国民」は、それらの組織に所属していない「非正規」の人々です。
さらに、正社員の中でも、旧来イメージのような正社員は急減しており、労組もなく、労働条件も悪く、「10年後、20年後の将来を描けない周辺的正社員」が増えている。そして「彼らの増加と未婚率の上昇はほとんど正比例」しているという(藤田孝典・白河桃子「週刊東洋経済5月14日「生涯未婚」)。
恐ろしい事態です。社会の根底がひびわれてきている。
しかし、日本の政治も、報道も決して「第二の国民」に光をあてようとしない。その理由ははっきりしていて、「政界もマスメディアも『第一の国民』に独占され、その内部で自己回転しているからだ。」
逆に、「第二の国民」の側からみれば「新聞が重視する政党や組織の対立など『宮廷内左派』と『宮廷内右派』の争いにしか見えない」という。

すでに4割に達した非正規社員、そして正社員の中にも広がる「周辺的正社員」。放置されている「第二の国民」の声は、どのように政治につながるのか。誰が彼らを代弁するのか。
小熊は「この問題は、日本社会の未来を左右し、政党やメディアの存亡を左右する。」と結んでいます。

フランスでは、若者たちが「ヌイ・デブー(立ち上がる夜・眠らない夜)」運動というものを始めているらしい。5月22日(日) 午後10時放送のNHKBS1「ドキュメンタリーWAVE▽激論 パリの広場で〜労働法をめぐり立ち上がる若者たち」はその様子をありありと伝えていました。
若者たちが広場に集まり、延々と語りあっている。自分が関心のあることをプラカードに書いてアピールすると、それに興味をもった人がよってきて、座り込んでおしゃべり・討論がはじまる。移民問題、テロ、タックスヘイブン(税金逃れ)など、なんでもよい。なかでも、いま焦点になっているのが「解雇自由法案」ともいうべき労働法改正案の是非だという内容でした。
フランスの若い衆がやりはじめることって、やはり、なんかシャレてます。

アメリカ大統領選で起きていることも根っこは同じでしょう。クリントンの対抗馬サンダースが「TPP反対、富裕層への増税」という政策でここまで強い支持を得る。ウォール街を占拠した若者たちの怒りが、社会民主主義者を自称するサンダース候補を支えています。機をみるに敏なトランプは、本戦でのクリントンとのたたかいを意識して、このごろ「富裕層への増税」を言いはじめています。

「若者の反乱」が半世紀を超えてよみがえるのか。

50年前に、まだ私が10代後半だったころ、全世界の若者が、同時多発的に自国政府に異議申し立てをしたことがあった。若者の反乱とか、スチューデントパワーとか、いろんないわれかたをした。
グローバリゼーションの行きつく果てが、1%の富裕層がさらに豊かになり、働く多くの人々が貧しくなるだけだということが明らかになるなかで、いまいちど、半世紀前のあの若者たちの異議申し立てがよみがえるのだろうか。
それとも、戦前の日本が経験したような「排外主義・民族主義」にからめとられていく道、ドイツのように民主主義の迷走の果てのナチズムの誕生といった悪夢がよみがえるのだろうか。
小熊の「この問題は、日本社会の未来を左右する」という指摘が重い。

既成政治への不信を、まっとうな民主主義の実現に転じていく回路を、若者たちが見出してくれますように。
日本のSEALDs、アメリカのウォール街占拠、フランスの「ヌイ・デブ―」運動に、乾杯。

関連:2015年11月23日、映画『首相官邸の前で』http://boketen.seesaa.net/article/430059472.html
2015年09月05日、小熊英二『生きて帰ってきた男』http://boketen.seesaa.net/article/425368005.html
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2016年05月29日

沖縄の友人より(14)女性暴行殺人・死体遺棄事件の現場で、花を手向ける

沖縄の友人から、女性暴行殺人・死体遺棄事件の現場を訪れ、花を手向けてきたという便りが送られてきました。また、6月19日には大きな県民大会が予定されているとのことです。

犠牲となった被害者の冥福を祈り、花を手向けてきました。
5月28日(土)、女性暴行殺人・死体遺棄事件の現場に行ってきました。
恩納村安富祖から金武町に抜ける県道104号線沿いの雑木林です。
実は私はこの道を5月2日に通りました。そのときはまだ事件が明るみに出ていませんでしたが、女性はすでに殺されて山中に捨てられていたのです。
今沖縄の野山のあちこちに咲き誇っているテッポウユリを3株手向け、手を合わせました。
同じ時間、バイクに乗って若者がやって来て手を合わせていました。
現場の道路や雑木林の入口には、女性が好きだったというピンク色の花束や生前の写真、飲物、お菓子などがたくさん供えられています。
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これまで数百、数千と重ねられてきた基地あるが故の悲劇はもう繰り返したくない!
県民の気持ちは一つです。
6月19日(日)那覇市のセルラー球場で県民大会が開かれます。
3万5千人の収用定員を大きく上回る県民の怒りの爆発の場となるでしょう。
posted by 三鷹天狗 at 19:35| Comment(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月28日

ブログ開設3周年。「言祝ぎ」プラス「異議申し立て」のブログとして。

手探りでブログを書きはじめて、5月27日で3年目となりました。
老人の繰り言のようなブログをのぞいてくださるみなさんに、お礼を申し上げます。

訪問者が多かった記事、長く読まれている記事

昨年の5月27日から今日までの1年間で、項目別で訪問者が多かった記事は、次の三つでした。
第1位 クローズアップ現代、国谷裕子さんの最終回がすばらしかった(2016年03月18日。204人)http://boketen.seesaa.net/article/435112691.html
第2位 プロフェッショナル仕事の流儀 井山裕太の勇姿に見とれる(掲載は2014年1月17日。反応はNHKが再放送した2016年5月25日に135人)http://boketen.seesaa.net/article/385396023.html
第3位 中沢けい『アンチヘイト・ダイアローグ』掲載は2015年10月29日。反応は12月2日に80人)http://boketen.seesaa.net/article/428688115.html
やはり、テレビの影響力というのはすごいものですね。『アンチヘイト・ダイアローグ』の反応が12月2日に大きくなった理由はわかりません。どこかの新聞かテレビでこの本のことがとりあげられたのかもしれません。

このように、ある文章にある日多くの反応があったということとは別に、ながいあいだ訪問者が続いている記事もあります。
三遊亭円丈『落語家の通信簿』(2013年10月4日)http://boketen.seesaa.net/article/376556996.html
フランス女優カトリーヌ・フロ(2014年12月28日)http://boketen.seesaa.net/article/411395004.html
中場利一『この子オレの子』(2015年01月28日)http://boketen.seesaa.net/article/413090688.html
掲載からけっこう時間もたっている記事に、いまも日によっては4〜5人の方が訪問してくださったりします。ありがたいことです。
一日の訪問者数は110〜130人くらい。上記のような、反応の多い文章があった時には250人くらいになります。

三多摩の片隅で、爺さんが怒っているぞ

気分の悪くなることは書かない。人生のもろもろのなかの、いいこと、祝福すべきことだけを書くようにしようという、始めるときの想いは、今も変わりません。
安倍ブラック政府(by島田雅彦)の安保法制をめぐる暴走、原発再稼働、沖縄での辺野古新基地建設、米軍属の女性殺害事件など、気分の悪くなることはたくさん起きました。
当ブログでも何度もとりあげました。三多摩の片隅で、爺さんが怒っているぞ、とこれからも異議申し立てをします。
ただ、書き方は、絶望としてではなく、希望として書くことをこころがけます。
「これが民主主義だ」と国会前の路上から声を発したSEALDsの若者たち。日本全体が安倍にひれ伏すような惨状の中で、昂然と叛旗を翻す沖縄の人びと。30〜40代の若い学者たちの中から、するどい問題提起で日本の未来への提言をする人たちが出てきていること。呆け天の同世代では、内田樹や高橋源一郎など行動も発言もすばらしい人たち、瀬戸内寂聴のように90歳の高齢をおして安倍政権に異議を申し立てる先輩たち…。
希望はたくさんあります。「日本会議」所属の国会議員たちの、どす黒い野望に対抗する力は、日本の野に満ちているとわたしは信じています。

ネット空間をむしばむ「呪い」のことばに、およばずながら言祝(ことほ)ぎで対抗します。
政治をむしばむ「日本会議」に連なる者たちに、立憲主義・民主主義の旗を掲げて対抗します

ブログ3周年に、バラをかざってそっと乾杯。
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関連:2015年05月27日、ブログ開設2周年。言祝ぎ(ことほぎ)族の盆栽ブログとして。http://boketen.seesaa.net/article/418839434.html
posted by 三鷹天狗 at 09:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする